(Editor) | 26, Oct, 2017

「最近気になる雑誌」No.00

10月24日、現代アメリカ文学を特集した弊誌最新号「The American NOVEL Chase」が発売された。

僕自身はどちらかというとアメリカ文学よりもイギリス……例えばサマセット・モームのような、ストーリーが立って面白く、ユーモアとアイロニーに富んだ作家を好んで読む。それでも今号を読むと、コルソン・ホワイトヘッドの新作を読みたくなり、デニス・ジョンソンの『ジーザス・サン』を神保町で探し、ヴィクター・ラヴァルの原著にも挑戦してみたくなる。

僕にとってのアメリカ文学とは、定番中の定番で申し訳ないが、ジャック・ケルアックの「路上」である。その原著本には、通常版とは別に「The Original Scroll ver.」というものが存在する。ケルアックはこの名著の草稿を、たった一枚の長い紙のロールにたった3週間で書いてみせたという逸話があり、その偉業への敬意をデザインに落とし込んだ特別仕様だ。具体的には、タイプライターで文字を打った質感のプリントが施され(=読みにくい)、草稿と同じく段落分けなどもされておらず(=読みづらい)、また装丁も雑多に重ねられたようにページが折ごとに段々になっていて、作品の持つ粗野な感覚をより楽しめる。通常版と並ぶとそのインパクトは強烈で、僕は「これぞアメリカの真髄、ビートニク!」と息巻いて値段も高めのこちらを購入したものだが、英語が不得意な人間には超不親切なun-editっぷりと、古いアメリカンスラングのあまりの多さによってすぐに挫折した。

それにしても、現代文学作家たちには紙で物語を綴ることはもはやないのだろうか? 未だにタイプライターで打ち込む方式とは思ってはいないが、日々デスクトップに向かって頭を悩まし続ける偉大な作家の姿を想像すると、一般人とあまり変わらないようで少々味気なさを感じてしまう。(夢を見過ぎか)

とはいえ、そのアウトプットはまず紙であり、本である。本には、考え抜かれた判型や紙の質感、インクの乗り方などを目と皮膚で感じられる喜びがある。そういった物質的感覚が担保されるかぎり、純文学だろうがファッション誌だろうが、紙というメディアが息絶えることはないという自信を与えてくれるのだ。

前置きが長くなったが、このブログ連載では、物質的価値が改めて見直されている紙媒体(主に雑誌)に主眼を置き、今気になるものを新旧問わず紹介していきたい。雑誌不況といわれる昨今、改めてその価値を発見することで、今後への一筋の光が見えてくるのではないかと期待して。

その第一弾は『Print』です。

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つづく