(Editor) | 06, Nov, 2017

「最近気になる雑誌」No.02 HOLIDAY

 

ブログ連載「最近気になる雑誌」第二弾は、『HOLIDAY』誌。年二回の刊行で、毎号世界各地の一国にフィーチャーしているトラベル系カルチャー誌です。ファッションページが多いが、一応位置づけ的にはファッション誌ではありません。

 

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昔の『HOLIDAY』誌

今やフランスから発行されているが、もともとは1946年から1977年まで発行されていたアメリカの伝説的雑誌である。公式HPによると、当時はライターやフォトグラファーを調査地に派遣し「予算や表現の縛りなどは一切無し、ただし面白いものを作ってこい!」という破天荒な編集方針だったそうだ。全盛期には100万人もの購読者がいたというが、それもそのはず、グレアム・グリーンやジャック・ケルアック、トルーマン・カポーティなどが寄稿し、アンリ・カルティエ=ブレッソンやロバート・キャパが撮ったというから、ため息が出るほど贅沢な雑誌である。しかし、様々ないざこざがあったようで、1977年に372号をもって雑誌は廃刊してしまう。

しかし2014年、廃刊より37年の時を経て、フランス人アート・ディレクターFranck Durandによって雑誌は復刊された。使用言語は英語のまま、その編集拠点は米国からパリへと移る。号数は引き継がれ、リローンチ号は373号とナンバリングされた。

 

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さて、復刊より8号目となる今号は380号目。特集される国はデンマークだ。前号はカリフォルニア、その前は韓国。375号では日本も特集された。

デンマーク特集は、ヌーヴェルバーグにてゴダールの作品などで一躍名を馳せた名女優、アンナ・カリーナのインタビューで幕を開ける。ファッションページやコラムと続き、終盤には気候や通貨、交通情報をはじめとした、旅には欠かせない「地球の歩き方」的なデンマークの基礎情報も完備している。

アート・ディレクターが主導する雑誌とあって、そのレイアウトデザインは毎号秀逸である。大きな判型で気持ちよく写真が映え、印刷のクオリティも抜群。特にモノクロの表現が素晴らしい!

 

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これが「レゴ」のコラムページですよ……

雑誌中盤に、デンマーク生まれであるブロック玩具「レゴ」のコラムがある。「レゴ」を語るページデザインなら、ブランドロゴやブロック、またはカラフルな色使いなどを用いられるのが普通かと思うが、『HOLIDAY』誌の場合は文字要素と写真家Olivier Kervernによるモノクロのスクエアフォーマットの屋敷の写真のみ。しかもタイトルにも「レゴ」と名前が入らないので、パっと見て「レゴ」の話かどうかは全くわからない。“わかりやすい”ページではないが、理屈を越えて美しいページだと思う。

 

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マリオ・テスティーノによるファッションストーリー

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「LAST SUMMER IN KREGME」

掲載されるファッションストーリーは、それぞれデンマーク・テイストが挿入されていながらも似ることなく個性が立っていて、雑誌一冊の流れでみても絶妙だ。特に、ファッション感がToo muchでないところがいい。僕のお気に入りは、中盤のファッションストーリー「LAST SUMMER IN KREGME」。スタイリストTONY IRVINEがハイブランドの服を田舎での自然な暮らしスタイルに絶妙に落としこみつつも、英の劇場・博物館「ナショナル シアター」から古い民族服を借りてきてミックスしている! マリオ・テスティーノによるエディトリアルも素晴らしい。レイアウトデザインも、スタッフクレジットなど細かいところで変化を付けているのも気づくと楽しい。雑誌としてファッションの扱いがうまいのは、アートディレクターFranck Durand自身が《バルマン》や《イザベルマラン》のアートディレクションも手がけていることに由縁があるだろう。

しかし、今号はなぜかいつもよりファッションページが多い気がする。広告もファッションブランドが占めていることもあるだろう。その分やっぱり文章が少ないかも?

 

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