(Editor) | 28, Dec, 2017

「最近気になる雑誌」No.05 Closing Ceremony

 

 ブログ連載「最近気になる雑誌」第5弾は、中国からのフォトマガジン「Closing Ceremony」です。こちらは、今秋発売された記念すべき第一号目。個人的に中国の雑誌を見る機会があまりないので、非常に新鮮な一冊です。上海を拠点に構える出版社「Same Paper」からの出版物になります。この出版社は写真家Xiaopeng Yuan とグラフィック・デザイナー Yijun Wangによって2013年に立ち上げられ、「Closing Ceremony」の編集/デザインも同じく2人が担当しています。

 

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 今号には、14名のフォトグラファーの作品、そのうち数人のインタビュー、そしてストリート・フォトグラフィーのコラムが掲載されています。日本からは、水谷吉法氏と伊丹豪氏の2名が参加。「Closing Ceremony」が他のフォトマガジンと違う点は、似たようなスタイルを持った写真家のみを集めている点で、“狭く深く”な編集方針であることです。感覚の近いフォトグラファーたちの写真が並ぶことで比較でき、露出のバランスや被写体/風景との距離感覚など、それぞれの個性がさらに際立って立ち現れています。またKangHee KimのようなPhotoshopを駆使したコラージュを組み込む写真家の存在も面白い。まだ一号目ということで、今後どのような編集スタイルをとっていくのか、楽しみな雑誌です。

 

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 また、先日に同出版社から刊行されたXiaopeng Yuanの写真集「Our Friends」にも注目です。写真集冒頭には“All photos were taken from 25th to 27th of February, Beijing”と記載され、今年亡くなった写真家レン・ハンの葬式に集まった親しい人々を撮影したものと噂されています。写真家が無機質的な自身のスタイルを貫こうとする冷静な視点と、クールになりきれない、どうしても悲しみと喪失感といった感情がはいりこんでしまう状況が入り混じって写真に現れ、グラフィカルだがエモーショナルな独特の写真集となっています。

 「Same Paper」は中国のオンライン ショッピング プラットフォームTaobaoにて、自社および他の出版社からの写真集の販売や、オリジナルのTシャツやキャップなどアパレルの展開もする、マルチな活動が光ります。経済面での隆盛が話題になりがちの中国ですが、経済的に豊かになりアートやデザインの土壌が育つことで、これからどんどんセンスのいいデザイナーやフォトグラファーが出てくるのでしょう。「Same Paper」のようなインディペンデントな出版社が、新しい時代の写真家のためのプラットフォームになるといいですね。次号も買ってみようと思います。

 

連載「最近気になる雑誌」

No.00 序章

No.01 Print 

No.02 HOLIDAY

No.03 DOCUMENT

No.04 PLANT

はリンクからよろしくお願いします。

上岡