(Editor) | 23, Aug, 2016

ストレッチデニムが苦手。

ハチノスもヒップポケット裏のステッチにもこだわりはないけど、ポリウレタンが入ったデニムだけはどうしても履けません。経年変化が味になるデニム=膝が破れるくらいまで履きつぶすものと思っているから、きたるその日を考えたとき、伸びきっていたり、その過程を想像するとなんとも堪え難い。結婚したときは気だてが良くて、毎晩ご飯作って三つ指ついて待っていたのに今では肥えに肥えて、帰宅したらカップ麺orお惣菜だけがテーブルにあってテレビにかじりついているような鬼嫁みたいな「あの頃はそんなことなかったのに…」感。結婚したことないのでわからないけど。
 そしてアメリカやゴールド・ラッシュに郷愁もないけど、本来ゲットワイルドな生地なのにそこに半濁音から始まるポップな要素が入ってくるのが許せない。これはただの言いがかりです。

先日も細身のデニムを探しにお店を回ったのですが、スキニーはともかく、スリムストレートでもほとんどすべてポリウレタン混でした。レプリカジーンズやステッチが特徴的な専業メーカー以外だと、本当になかった。小誌に載っているメゾンブランドからコンテンポラリーレーベルまで、時間割いていろいろと見て回りましたが(なんなら平日の展示会帰りもちょっと寄った)、シンプルであればあるほどストレッチが入ってくる。見た目は変わらないから「おしゃれは我慢」のそれではないわけだし、だからこそ“綿100%”は“(ミスド)100円セール”、“初回限定版(個別握手券封入)”ばりのパワーワードだと思っていたのに。いつの間に、一部のハードコアのためだけのものになってしまったのか。

定番過ぎて避けていた《ACNE STUDIOS》でも、スリムストレートの“MAX”や“TOWN”からはほぼ全てストレッチデニム。ショップで働く友人曰く、「昔は綿100%がほとんどだったけど、ブランドが大きくなるにつれて履く人の層も広がっていったから、履きやすさを重視して入るようになった」とのこと。「ジーンズを起源とするブランドがそんな軟弱な姿勢でいいの?」と申したいのを、明らかにとばっちりだということがわかっていたのでぐっと堪えました。
「でも、本社の人はみんなストレッチなしをはいているみたい」

先日もとあるブランドの展示会でいい感じのデニムがあり、ポリウレタン混だったので興味本位で聞いたら、素材にケチつけたみたいになってしまったことを今も反省してます。
 探している途中、あるお店で店員さんに綿100%のデニムを探していると伝えたところしばらくして「僕も…ストレッチ入りは履かないんです。やっぱりデニムの良さって、そういう履きづらさも含めての、じゃないですか。最近はそういう人がほとんどいなくなって」と堰を切ったように語り始め、「同じ品番でも、綿100%のほうが色がきれいに乗るんですよ」(そうなの?)。「そういうこだわりって、やっぱり……なくしちゃいけないですよね」と、もはや希少種となったデニム・ハードコアに遭遇し不思議なシンパシーを感じました。
うんちくや背景にはこだわらない方だけど、こうした偏愛みたいな要素が少しずつなくなってしまうのはちょっと寂しい気がします。いつかは自分もポリウレタン混を履く日が来るのだろうか。

結局《ACNE》の“ROC”というモデルを買いました。股上深めのスリムストレート、もちろん綿100%。そして何より名前がいい。
自分の中でデニムが似合う人といえばアレックス・ターナー。スリムなのにゆるい雰囲気の、あの感じが好き。

とかいって、デニム一本買うのにここまでやってるの、全然ロックじゃないんですけど…