(Editor in Chief) | 20, May, 2020

NYのファッションが消えてゆく

コロナがNYのファッションを殺していく。

新型コロナは確かに“戦争”かもしれない。

もっとも戦禍の激しいアメリカでは、次々とファッションの拠点が失われていく。

特に2010年代、多くのファッショニスタから注目を集めていた「J.クルー」が5月4日に破綻。そして5月19日には「ジェフリー」が閉店、という知らせが届いた。

僕もNY出張があるたびに、この二つのショップに必ず足を運んだ。ハシゴしたことも少なくなし、スルーしたことは一度もないはずだ。

「J.クルー」はトライベッカに「リカーショップ」がオープンする前後からあちこちに足しげく通った。「ジェフリー」はミートパッキンに「アップルストア」も《バレンシアガ》のショップもできる前から顔を出した。

「J.クルー」はアップデイトされたアメリカン・カジュアルを提供し、「ジェフリー」はヨーロッパのラグジュアリーブランドに力を入れていたが、僕は両方の店でアメリカン・トラッドなアイテムを求めた。欲しいものが必ず、二つの店にはあった。

ただ、2018年にNYを訪れた時には、残念ながらともに買う物が見当たらず、空手で店を後にした。それが今回のクローズにつながったとは思えないが、経済紙によると、近年の売上が低迷しているところからコロナ被害の直撃を食らっているそうだ。

今もクローゼットには「J.クルー」も「ジェフリー」のエクスクルーシブ(ダブルネーム)も眠っている。今回、偶然にもカシミアのニット(ともにブラウン系)が見つかった。「J.クルー」はコストパフォーマンスとカラーバリエーションが魅力で、「ジェフリー」はトラッドブランドとのコラボレーションが巧かった。写真のカーディガンはアメリカを代表するトラッドブランド(かつてのシャツメーカー)《ガント》とのダブルネームだ。フランスの《ラコステ》やイギリスの《ジョン・スメドレー》とのコラボも購入したことがある。おそらくこの二社は企画(デザイン)担当者がIVYをはじめとするアメリカン・トラッドに精通していたと考えられ、当時リリースされるアイテムのどのデザインやディテールにも60年代のエッセンスが感じられた。

「J.クリー」はトッド・スナイダーからフランク・マイジェン。「ジェフリー」はオーナーのジェフリー・カリンスキー。いずれもボタンダウンシャツよく似合うデザイナーだ。IVY好きなら、必ず欲しいものが見つかるのは、彼らのプライベートのスタイルを見ていても納得できた。

それが、もう消えてしまった。コロナのせいだ。

IVY好きな日本人を大いに誘惑したNYのトラッドは、コロナという戦争によって滅亡されてしまうのだろうか。