(Editor) | 28, May, 2020

料理の楽しみは、フレンチレストラン「ラ クレリエール」が教えてくれる

「Stay Home」ということで、外食ができず自炊するほかない。
(健康意識という強迫観念に駆られて)いつも以上に多めの野菜と肉を買い込んでみたはいいが、その材料を前にどう調理していいかわからず、「にんじん 食べ方」なんて検索しても良さげなレシピは表示されない。包丁を片手に呆然と台所に立ちすくみ、結局ただの焼いた野菜と肉が出来上がる……なんて方もいるんじゃないでしょうか。僕です。

 

 

そんな方にお勧めしたいのが、東京の白金高輪にあるフレンチレストラン「ラ クレリエール」のシェフ柴田秀之さんが、Youtubeで配信している料理動画。僕はこれで料理への意識が(腕ではない)、格段に上がりました。

お店でもつくられていると思われるフレンチのメニューを家庭用にアレンジし、シェフが解説しながらつくっていくという内容で、だいたい30分くらいの尺です。料理動画としてはいささか長めではありますが、見ていてまったく飽きない。

なぜなら、野菜の切り方、バターの溶かし方、玉ねぎや肉へ火の入れ方など、細かい行程もきちんと解説されるのですが、シェフの行動ひとつひとつに経験に裏付けされた理論があって、「なぜ、そうするのか」を丁寧に教えてくれるから。

「なぜ、そうするのか」。にんじんをただ短冊切りするのではなく、短冊切りにする理由を学ぶこと。これってクックパッドなどでは細やかに教えてくれないし、毎日一流レストランの厨房に立ち、料理を振る舞い続けるシェフだからこその説得力があります。

 

 

動画で紹介されるメニューは、よっぽど料理好きでないと家庭で再現するのは難しいものばかり。家庭用にアレンジされていると言っても、そんじょそこらのスーパーではまず手に入らない肉の部位や野菜、生のスパイスたちが当たり前のようにでてくるので(笑)。

でも、そのプロセスにある作業の理由がわかると、他の料理にもその理論を転用できる。野菜を切ったり、肉に火を入れたりという行程は、すべての料理の基本ですもんね。というか、こういった考え方自体、料理の枠を飛び越えてあらゆる仕事や生活態度にも通ずることですね……。

シェフは、すべての行程は「最終的にどう食べさせたいか」で変わってくる。だからこそ「こういう仕上がりにしたいから、あえてこうする」こともあるとおっしゃっていました。ただそのアレンジのためには、適切に基礎となる理論を学ぶ必要があります。昔、大学の特別講義で庵野秀明監督がいらしたとき、「箱から飛び出るためには、まず箱のことを知らなくてはいけない」と説かれていたのを思い出しました。

 

 

まあ、理論上はわかっていても、やっぱりそう上手くはいかないのが現実です。僕は上手く加減ができずに、まだ生焼けだったり、焦がしたりなどしてますが、前より格段に料理をするのが楽しくなった。

とはいえ、ズボラは直らずで、未だに「家庭料理は、塩とスパイスで素材の味を引き出す程度のシンプルさで十分。手の凝った料理が食べたければ、レストランに行け」と思っていますが、気分がいいときには凝ったものも挑戦していきたい。

この動画シリーズはほぼすべて見ました。神は細部に宿るではないですが、プロがいかに細かいところにまで頭と神経を使っているかが分かって、改めて感心。アフターコロナの世界では、何かの記念日など奮発できる機会で、ぜひ「ラ クレリエール」を訪れてみたいです。

 

PS.

「皿に残ったソースをパンで拭くのはマナー違反」だと僕は信じていたのですが、柴田さん曰くそうではないそう。「最後まで綺麗に食べてくれた方が嬉しい」と。僕はこれで同席していた人にケチをつけ、解説・指導をしたことがあるのですが、赤面モノです。そもそもネット検索で得た、浅はかで一面的な知識だったので。。反省します。

 

上岡