©David Uzochukwu

FEATURE | 22, Apr, 2017

《MISSONI》X《PIGALLE》CAPSEL COLLECTION

ストリートとラグジュアリーが交差する、至高のクラフトワーク

《PIGALLE》のデザイナー、ステファン・アシュプール氏に聞く、本コラボレーションの真相とは?

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©Alessandro Cicoria

 

パリのハイストリートブランド 《PIGALLE》とミラノのラグジュアリーブランド《MISSONI》がコラボレートカプセルコレクションを発表。4/22より、日本国内では「DOVER STREET MARGET GINZA」のみで先行ローンチされる。

《PIGALLE》の最も象徴的なアイテムに、《MISSONI》の伝統的なニットウエアの技術を融合させ、芸術的な作品が作り上げられた本コレクション。ローンチを記念して来日した《PIGALLE》のデザイナー、ステファン・アシュプール氏に、意外とも思われる本コラボレーションの真相を尋ねた。

 

8L6A7462「ドーバー」で設営中のアシュプール氏©Diptrics

 

−どのように《ミッソーニ》とのコラボレーションは始まりましたか?

とても自然だったよ。《ミッソーニ》のメンズデザイナーであるメイヤーとはもともと友達だったんだ。もう4、5年の付き合いだね。昨年の夏に一緒になにかやろうって話をして、後にコラボレーションの提案があったんだよ。それで、ミラノでの《ミッソーニ》の創立者の妻ロジータに招待されたカクテルホームパーティーで、娘のアンジェラ・ミッソーニに会ったんだ。会話をする中で、お互いにいい印象を持ち、いろいろな共通点を見つけたんだ。《ミッソーニ》は大きくて権威あるブランドで、《ピガール》はもともとスポーツライクなブランドだけど、それでも共通点があったんだよ。

 

−コレクション製作にあたって、どのような話し合いがあったのですか?

実際にコラボレーションが実現することになったとき、僕はまず創業者であるオッタヴィオ・ミッソーニに対してオマージュを捧げようと思ったんだ。若い頃から、ずっと彼のファンだったからね。彼はオリンピックに出たほどのスポーツマンで、マスキュリン。そして、《MISSONI》のコレクションを見るとわかるように“色”が好きな男だった。あまりにも僕と共通しているから、もしかして本当は、僕は彼の子どもなんじゃないかと思ったくらいだよ。だから、今回は僕と彼の共通のルーツであるスポーツを意識したコレクションにしたいと思ったんだ。ロングスリーブスウェットやジョグパンツ、PIGALLE当初から作っている狩猟キャップやボール……などね。そして同時にハイエンドなものにもしたかったので、《ミッソーニ》のアーカイブ生地を使ってコレクションを作った。これは、パッチワークの部分で見られるね。(画像を指差しながら)これは80年代からのアーカイブの生地。これは90年代、こっちは2000年代。イタリアの《ミッソーニ》の倉庫には幾千ものパターンファブリックのロールがあって、このコレクションのために4、5回はそこに通ったよ。

 

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©Alessandro Cicoria

 

アシュプール氏のInstagramより、ホーリー祭の様子

 

−色の話がありましたが、このコレクションビジュアルが撮影された街のカラフルさもそれと関係しますか?

撮影場所は去年の夏に僕が発見した、ブラノというベニスの近くの島なんだ。直接のインスピレーション源ではないけれど、確かに《ミッソーニ》特有の色の要素から少しは影響されているのかもしれないね。また、このアイデアはインドの“ホーリー祭り”という色の祭典からの影響もあるね。実際にお祭りの時期に訪れたことがあるんだけど、とても刺激的でエキサイティングな経験だったよ。

 

−過去には《ナイキ》、《ポーター》、《ビーツ》とのコラボレーションを行いましたが、今回の相手はイタリアンラグジュアリーブランド。コレクション製作の過程に違いはありましたか?

もちろん!ラグジュアリーブランドだから、実際の取引相手はハイエンドな人々だ。今回のような小さいコレクションもあれば、ナイキとの大きなコラボレーションもある。だけど、フィーリングに関してはいつも変わらないよ。プロセスにも大きな違いはないかな。一緒にコレクションを作る人が違うだけだ。《ミッソーニ》のスタッフはとても良い人たちだったよ。

 

−なぜ《ミッソーニ》があなたとのコラボレーションを決めたと思いますか?

元々アンジェラは僕のインスタグラムをフォローしていたみたいで、最初はソーシャルメディアを通してのみ僕の仕事を知っていたんだ。ミッソーニ家の息子であるジャコモ・ミッソーニはすでに僕のショーを見に来てくれていて、その感想をアンジェラにいいかんじに話したみたい。面白くて、色を扱う才能があるデザイナーだとね。《ピガール》は家族経営のようなビジネスで、僕自身は色とクラフト、そしてスポーツが大好き。彼女はそこに《ピガール》と《ミッソーニ》の共通性を見いだしたんだ。このコラボレーションは、全くもってマーケティングの手法じゃない。ただ、お互いにわかりあっていいものができると感じたからなんだ。60年もの間、《ミッソーニ》はいままで緊密な関係でのコラボレーションは行ったことがない。あるとしても、《コンバース》とのスニーカーくらいだよ。僕が《ミッソーニ》というブランド史上で、最初のコラボレーション相手になったんだ。とても光栄に思うよ。彼らもこの結果に対して満足しているみたいだ。

 

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©Alessandro Cicoria

老舗メゾンらとのカラフルなコラボレーションフェザー

−今回のコレクションには特別な技術を使ったものがあるとのことでしたが…

今回、東京のためだけに“てまり”の技術を使ったスペシャルなボールも用意したんだ。日本が大好きだから、特別だよ!コレクション画像に写っているボールとは別のプロダクトなんだ。作るのに40時間か50時間、とにかく凄く時間がかかる。“てまり”は前回来日したときに見つけた技術なんだ。上野毛駅近くにある、“てまり”の博物館「てまり文庫」でね。素敵でしょ? 「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」にディスプレイされるからチェックしてみて!

 “てまり”の技術の採用は、僕のスタイルを象徴していると思うんだ。僕はスポーツの要素を洋服に持ち込んでいるのと同時に、クラフトな部分も大切にしている。例えば、去年は《シャネル》のアトリエとコラボレーションして、老舗の《ルサージュ》や《ルマリエ》からのフェザーのジャケットを作った。ハイクチュールだよ。僕は、ハイエンドなクラフトとスポーツをミックスするのが好きなんだ。90年代に青春を過ごしたから、とてもその時代性に影響を受けているんだよ。そして、最大級のファッションブランドが揃うパリ出身というのがクラフト好きに影響しているね。そういったすべての要素をミックスするのが好きなんだ。それを《ミッソーニ》もよく思ってくれた。彼らは、ただのストリートブランドとはコラボレーションしないからね。僕のクラフトへの情熱がコラボレーションすることになった理由の一つだよ。

 アンジェラとは長いこと会話をして、もう90歳近くになるロジータ・ミッソーニ(創業者の妻)の家でのランチに招待してくれたんだ。彼女たちは僕をリスペクトしてくれて、とても良い時間を過ごせたよ。僕も《ミッソーニ》に大いなるリスペクトを持っていて、世界随一のニットウエアブランドだと思っている。一時的にトレンディなブランドではなく、長い間高いクオリティを保ち続けているんだ。変わらない家族とビジネススタイルでね。これはとても素敵でユニークな点だと思うよ。

 

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©David Uzochukwu

−どこかのメゾンでデザイナーとして働くことに興味はありますか?

どうかな。僕は《ピガール》と共に育ってきたけど、顧客は時々プロダクトだけに注視するんだよ。クラフトの質は他の大きなメゾンと変わらないと考えている。顧客がどうリアクションするかによるんだ。ブランドを始めた時より僕自身成長しているけど……うーん、小さいところならあり得るかな。今はまだ早いよ。

 《ピガール》の生産は、今後は2017AWコレクションで発表した自分たちのアトリエで生産を始める予定だけど、これまで僕の地元のいくつかの小さな工場で行っていた。とてもレアケースだね。それを自分のショップで売っていて。自分でやらないのは生地を編むところだけだよ。《ミッソーニ》は編むところから始めているね。彼らは生地見本市には行かないんだ。この部分でも尊敬できるブランドだよ。

 

−最近気になっていることはありますか?

強いて言うなら音楽かな。というのも、僕が最初に就職したのは音楽業界なんだ。実は《ピガール》のランウェイで流す曲も、誰かの曲をミックスしたものではなくて、僕らで作曲しているものなんだよ。来年あたりにはオリジナルのコンピレーションCDを出そうと思っている。なにしろたくさんの曲がストックされているからね。あと、親友である俳優のポール・ハミーと映画監督のニコラス・ペドゥッジ。2年以内に、彼らと長編の映画の企画をしているよ。たくさんの企画が同時進行しているんだ。どれも楽しみだよ。

 

単なる表層的なものではなく、親密な関係と共通性が織りなすクラフトマンシップ溢れるコラボレーションとなった。その真髄を、手に取って感じよう。

 

 

【店舗詳細】

ドーバー ストリート マーケット ギンザ

東京都中央区銀座6-9-5 ギンザコマツ西館

11:00 – 20:00

03-6228-5080

 

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©David Uzochukwu

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