BLUE PERIOD / LAST SUMMER : ARAKINEMA (c)Nobuyoshi Araki

| 19, Dec, 2017

青ノ時代/去年ノ夏:アラキネマ by Nobuyoshi Araki

写真集として蘇る、伝説の「アラキネマ」。

 

 「私写真」と称して自身の日常をありのままに撮影した写真作品を制作してきた写真界のレジェンド、アラーキーこと荒木経惟氏。氏は今までになんと500冊以上の写真集を発表しているというが、この度NYの出版社「SESSION PRESS」と「DASHWOOD BOOKS」から共同出版される写真集では一味違った氏の魅力を感じることができる。

 『青ノ時代/去年ノ夏:アラキネマ』と題された今作は、作家の映像作品「アラキネマ」に焦点を当てた写真集だ。今ではあまり見ることができないが、氏は80年代中期から約20年間、実験的な映像作品「アラキネマ」を制作し、ライブ上映してきた。「アラキネマ」とは、スライド写真に音楽をつけて投影する独自のライブパフォーマンスのこと。第1作目の『東京物語』は1986年に東京・渋谷にあったシネマライズにて上映され、パフォーマンスは世界各国の美術館や関連施設で90年代後半から2000年代半ばにかけて企画、上演された。

 

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BLUE PERIOD / LAST SUMMER : ARAKINEMA (c)Nobuyoshi Araki

 本写真集では、ライブの臨場感や雰囲気をできるだけ忠実に再現するために、両作品が上映された際のオリジナルスライドに基づいて編集、制作がなされた。『青ノ時代』『去年ノ夏』はともに2005年に発表された作品であり、前者は1980〜90年代に雑誌『写真時代』に掲載された作品でまとめられている一方、後者は2005年前後に撮り下ろされた作品が使用されている。ヌードとポートレートを軸にしながら、街路の風景や花の写真なども併せて構成された両作品に共通しているのは、オリジナルの写真に手を加えることで力強い効果を生み出しているという点であり、『青ノ時代』では薬品で脱色することで引き出された色褪せたブルーが、まるで夢か消え去っていく記憶の中にでもいるかのような、メランコリックな儚さを作品にもたらしている。また『去年ノ夏』は明るく透明感のある色を写真の上に塗っていくことで、まるで万華鏡が映し出す幻想的な世界を表現している。作家自身も、両作品が過去と未来を現す人生そのものであり対にして見られることをインタビュー(アートン:東京、2005年)の中で語っており、本書にも掲載されている。

 映像を紙に落とし込み、再現のみならず新たな価値をもって昇華された貴重な一冊に仕上がった今作は、2種類のスリップケース展開(JAPAN EDITION / US EDITION)となっているので、ぜひともどちらも手に入れたい。

 

 

書籍概要

タイトル:BLUE PERIOD / LAST SUMMER : ARAKINEMA 青ノ時代/去年ノ夏:アラキネマ
作家:荒木経惟
出版社:SESSION PRESS、 DASHWOOD BOOKS
仕様:スリップケース(2種類:JAPAN EDITION / US EDITION)入りソフトカバー / 216ページ / 260 x 178.3 mm / カラー / 日本語、英語 / 2017年刊
発行部数: 1,750部
販売価格:12,000 円(税別) 
12月中旬発売予定

JAPAN EDITION 詳細: 

BLUE PERIOD / LAST SUMMER : ARAKINEMA 青ノ時代/去年ノ夏:アラキネマ by Nobuyoshi Araki [JAPAN EDITION]

US EDITION 詳細:

BLUE PERIOD / LAST SUMMER : ARAKINEMA / 青ノ時代/去年ノ夏:アラキネマ by Nobuyoshi Araki [US EDITION]

内容やサイズ、価格など、スリップケースの絵柄以外はどちらも同じ仕様となります。