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MUSIC
Jul 29, 2020
By KO UEOKA

Letter Exchange 2/8 – Bing & Ruth / 原 摩利彦

音楽家、 原 摩利彦と、デヴィッド・ムーアを中心とした不定形な室内音響アンサンブル・プロジェクト、ビング・アンド・ルースによる、計8通にわたる往復書簡。

一通目のテーマは、「最近、どんなふうに過ごしていた?」。

原から送られたファーストレターに、デヴィッドが応答する。

 

 

1.【一通目】 「最近、どんなふうに過ごしていた?」 原 摩利彦→デヴィッド・ムーア

2,【一通目】 「最近、どんなふうに過ごしていた?」デヴィッド・ムーア→ 原 摩利彦

3.【二通目】 「インスピレーションは何から受ける?最近ハマっていることは?」 原 摩利彦→デヴィッド・ムーア

4.【二通目】 「インスピレーションは何から受ける?最近ハマっていることは?」 デヴィッド・ムーア原 摩利彦

 

 

Diary #1 from Bing & Ruth to Marihiko Hara

はじめまして。最近、どんなふうに過ごしていた?

摩利彦さん、こんにちは。

まず始めに、あなたの奥さんとお子さんが無事に家に戻りあなたと一緒にいると聞いてとても嬉しく思います。この奇妙な時期が僕に何かを教えてくれたとしたら、それは家族が全てだということです。

レイニー(別名:ロウニー・ドッグ・バウマン、未来の犬)とウッドストックにて

僕は今、ウッドストックの山小屋からあなたへの手紙を書いています。僕とパートナーと、僕の愛犬は昨日、ブルックリンからニューヨーク州のウッドストックに車でやってきました。我が家のあるブルックリンを出たのは、3月中旬に海外から戻ってきて以来初めてです。 ニューヨーク州北部に来たのはたくさんの理由がありますが、僕が最も求めていたのは静けさでした。遠い森の中や砂漠の奥などでしか得ることができない種類の深い静けさです。僕はその静けさの音を恋しく思っていました。

僕が描いた花

僕たちがここに来たのは、お祝いをするためでもあります。僕とパートナーは、ほんの2週間前に結婚することを決めたのです。彼女の名前はステファニーと言って、メキシコシティにある教育コンサルティングと試験の準備を行う会社を共同経営しています。アメリカの大学に進学したい子供たちを支援していて、とても仕事ができます。僕は年内に予定されていたツアーがすべてできなくなり、彼女はメキシコシティに行けなくなってしまった今、僕たちは余暇の時間を過ごす新しい方法を探すことにしました。その中で最近発見したものの1つがスタジオジブリの全作品です。観る者を遥か彼方の場所へと連れて行き、その場所に残していこうとする作品の数々。僕は素晴らしいと思いました。それから僕は最近新種の花を開発していて、その絵を描いたりもしています。今までに、25本近くの花をつくってきました。

 

ツアーをして自分が新しく作った音楽を人々と共有できないのは辛いですが、それが現実です。多くの人はツアー活動を仕事のように捉えていて、たしかにツアー活動は大変な仕事だと思いますが、やはり無いと非常に恋しくなるものです。あなたも公演ができなくて恋しくなりますか?もしそう思うなら、どんなことが一番恋しいですか?

 

最近は、他にどんな音楽を聴いていますか?

 

今朝、黒人がまた警官によって殺されたというニュースを読みました。僕たちがコミュニティーとなって街に出て、正義を求める活動をしているのにも関わらずです。この国は長い間、ひどく崩壊した状態ですが、今は僕たちの世代の世界です。僕たちが勇気を持って要求をしていかないと世界は変わりません。大きな変化が訪れようとしています。全てが予測不可能に感じる今、これだけは確信しています。

 

あなたと知り合うことができて嬉しいです。次のやりとりを楽しみにしています。

 

原からBing &Ruthへの返信レターは、8/5に公開!

 

 

両アーティストによる新アルバムをチェック。(左)PASSION - 原 摩利彦 (右)Species - Bing & Ruth

 

 

原 摩利彦

京都大学教育学部卒業。同大学大学院教育学研究科修士課程中退。音風景から立ち上がる質感/静謐を軸に、ポスト・クラシカルから音響的なサウンド・スケープまで、舞台・ファインアート・映画など、さまざまな媒体形式で制作活動を行う。ソロ・アーティストとしてアルバム『Passion』『Landscape in Portrait』、をリリース。坂本龍一とのセッションやダミアン・ジャレ+名和晃平「VESSEL」、野田秀樹「贋作 桜の森の満開の下」の舞台音楽、ANREALAGEパリコレクションのショー音楽などを手がける。アーティスト・コレクティブ「ダムタイプ」に参加。

 

 

Bing & Ruth

ビング・アンド・ルースは、NYブルックリンのピアニスト兼コンポーザー、デヴィッド・ムーアを中心とした不定形な室内音響アンサンブル・プロジェクト。ニューヨークのグリニッジ・ビレッジにあるニュー・スクール・フォー・ジャズ&コンテンポラリー・ミュージックで学んだデヴィッド・ムーアは、2006年にビング・アンド・ルースとしての活動をスタート。初期作品はエレクトロニクスとアンビエント・ドローンが交差するサウンド・プロダクションで注目を集め、〈4AD〉からリリースした前作『No Home of the Mind』は米Rolling Stoneなど各メディアから絶賛された。

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