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MUSIC
Aug 19, 2020
By KO UEOKA

Letter Exchange 5/8 – Bing & Ruth / 原 摩利彦

音楽家、 原 摩利彦と、デヴィッド・ムーアを中心とした不定形な室内音響アンサンブル・プロジェクト、ビング・アンド・ルースによる、計8通にわたる往復書簡。

第三通目のテーマは、「最近、何を聴いている?」。

 

1.【一通目】 「最近、どんなふうに過ごしていた?」 原 摩利彦→デヴィッド・ムーア1.【一通目】 「最近、どんなふうに過ごしていた?」 原 摩利彦→デヴィッド・ムーア

2,【一通目】 「最近、どんなふうに過ごしていた?」デヴィッド・ムーア→ 原 摩利彦

3.【二通目】 「インスピレーションは何から受ける?最近ハマっていることは?」 原 摩利彦→デヴィッド・ムーア

4.【二通目】 「インスピレーションは何から受ける?最近ハマっていることは?」 デヴィッド・ムーア→原 摩利彦

5.【三通目】 「最近、何を聴いている?」原 摩利彦→デヴィッド・ムーア

6.【三通目】 「最近、何を聴いている?」デヴィッド・ムーア→原 摩利彦

7.【四通目】 「この先の暮らし方とは?」原 摩利彦→デヴィッド・ムーア

8.【四通目】 「この先の暮らし方とは?」デヴィッド・ムーア→原 摩利彦

 

Diary #3 from Marihiko Hara to Bing & Ruth

最近、何を聴いている?

 

梅雨が明けて夏がやってきました。朝から蝉が大声で鳴いています。

 

慣れない場所に身を置いて、そこでの居心地の悪さから影響をうけ、新しいクリエイティビティを引き出すのはとても興味深いですね! 生活でも同じことを繰り返すよりも、変化がある方を私は好みますが、それはリフレッシュのような新しさを求めているもので、居心地の悪さという考え方はありませんでした。笑い話ですが、私はずっと模様替えをしています。先日寝室のエアコンの調子が悪くなり、ベッドをリビングに移して数日過ごしましたが、ホテルのようで楽しくとてもリフレッシュできました。

バルセロナのホテル。模様替えをしたあとはこんな気分です。

ピザの箱のチェスボードは素敵ですね。出産直前までソファやベランダで妻と将棋を指していたのを思い出しました。

 

作品は世に出ていき、晒される(exposed)ことで一人前になると思っています。喜びが一番大きいですね。そして独立しても(作品とは)すぐにいつでも会える関係のように感じています。スコット・ウォーカーのドキュメンタリーをずいぶんと昔に見ましたが、彼は自分のアルバムを完成させたら二度と聴き返さないと言っていたように思います。最後にもう一度聴かせてくれとスタジオでエンジニアに頼んでいたのが驚きでした。

リビングのネムノキ

先ほど変化を求めるのが好きだと書きましたが、続く在宅生活で毎日が繰り返しになってきました。まるでソナタ形式など展開していく音楽からミニマルミュージックにシフトしたようです。そしてこの繰り返しも好きになってきました。毎日やっていることは同じでもそこにはやはり変化があります。とくに子どもの成長は面白く、楽しませてくれ、多くを学んでいます。

京都北部の海

この事態を乗り越えたら、ぜひお会いしましょう! 今はぐっと我慢して、育児と思索に専念します。きっと蝉よりも大きな喜びの声をあげると思います。ここ数日、イラン音楽が心によく響きます。

 

今どんな音楽を聴いていますか?

両アーティストによる新アルバムをチェック。(左)PASSION - 原 摩利彦 (右)Species - Bing & Ruth

 

 

原 摩利彦

京都大学教育学部卒業。同大学大学院教育学研究科修士課程中退。音風景から立ち上がる質感/静謐を軸に、ポスト・クラシカルから音響的なサウンド・スケープまで、舞台・ファインアート・映画など、さまざまな媒体形式で制作活動を行う。ソロ・アーティストとしてアルバム『Passion』『Landscape in Portrait』、をリリース。坂本龍一とのセッションやダミアン・ジャレ+名和晃平「VESSEL」、野田秀樹「贋作 桜の森の満開の下」の舞台音楽、ANREALAGEパリコレクションのショー音楽などを手がける。アーティスト・コレクティブ「ダムタイプ」に参加。

 

 

Bing & Ruth

ビング・アンド・ルースは、NYブルックリンのピアニスト兼コンポーザー、デヴィッド・ムーアを中心とした不定形な室内音響アンサンブル・プロジェクト。ニューヨークのグリニッジ・ビレッジにあるニュー・スクール・フォー・ジャズ&コンテンポラリー・ミュージックで学んだデヴィッド・ムーアは、2006年にビング・アンド・ルースとしての活動をスタート。初期作品はエレクトロニクスとアンビエント・ドローンが交差するサウンド・プロダクションで注目を集め、〈4AD〉からリリースした前作『No Home of the Mind』は米Rolling Stoneなど各メディアから絶賛された。

 

Edit_Ko Ueoka.

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