Them magazine

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MUSIC
Aug 26, 2020
By KO UEOKA

Letter Exchange 6/8 – Bing & Ruth / 原 摩利彦

音楽家、 原 摩利彦と、デヴィッド・ムーアを中心とした不定形な室内音響アンサンブル・プロジェクト、ビング・アンド・ルースによる、計8通にわたる往復書簡。

第三通目のテーマは、「最近、何を聴いている?」。

 

 

1.【一通目】 「最近、どんなふうに過ごしていた?」 原 摩利彦→デヴィッド・ムーア

2,【一通目】 「最近、どんなふうに過ごしていた?」デヴィッド・ムーア→ 原 摩利彦

3.【二通目】 「インスピレーションは何から受ける?最近ハマっていることは?」 原 摩利彦→デヴィッド・ムーア

4.【二通目】 「インスピレーションは何から受ける?最近ハマっていることは?」 デヴィッド・ムーア→原 摩利彦

5.【三通目】 「最近、何を聴いている?」原 摩利彦→デヴィッド・ムーア

6.【三通目】 「最近、何を聴いている?」デヴィッド・ムーア→原 摩利彦

7.【四通目】 「この先の暮らし方とは?」原 摩利彦→デヴィッド・ムーア

8.【四通目】 「この先の暮らし方とは?」デヴィッド・ムーア→原 摩利彦

 

Diary #3 from Bing & Ruth to Marihiko Hara

最近、何を聴いている?

 

あなたが送ってくれた写真は、どれもとても素敵ですね! ねむの木の写真が特に好きです。屋内にいることに慣れすぎてしまっているせいで、リビングルームにある木に最も共感してしまうのかもしれないですね。

 

ベッドをリビングルームに移したという話はとても面白いですね。私も、ニューヨークで最初に住んでいた部屋では毎日模様替えをしていて、同じ状態で起きるということが連日でなかったという時期がありました。私の住んでいる部屋に新鮮味を加えるという役割を多少は果たしてくれましたが、ニューヨークシティに移住するということ自体が私が想像していた以上に最もビッグで新しい出来事でした。

 

ニューヨーク州北部でギターの実験に取り掛かり中

 

こちらは、前回のやり取り以来、安定しています。私はパートナーと一緒にニューヨーク州北部にある、小さなキャビンを8月と10月で借りました。このコロナの状況では特に、精神衛生面のケアが非常に大切になってきますよね。田舎に長期滞在するのはとても久しぶりでしたので、どうやって時間を過ごすのかを忘れてしまったかと思いました。このキャビンにいるのは最初は大変でしたが、徐々にリラックスの仕方を思い出し始め、木々を信頼するようになってきました。まるで、何年も会っていなかった旧友と再び繋がったような感じです。たくさんの読書と散歩が私のここでの日々を埋めていってくれます。

 

私がリラックスする場所

最近はどのような音楽を聴いていますかと聞いてくれましたね。私が聴くのを止められないアルバムで、ここ何年もの間で大好きなアルバムは『Ethiopiques Vol 21』という、エマホイ・ツェゲ=マリアム・ゴブルーという名のエチオピア人の修道女によるソロピアノアルバムです。彼女の音楽をご存知ですか?もし、私が一生涯、1つのものしか聴けないとしたら(それは恐ろしい考えですね!)私はこのアルバムを選ぶでしょう。実際のところ、昨日だけで既に3回も聴いているのです。修道女がこの音楽を作ったと聞いて納得しました。これは、神の語りだと私は考えています。そして私はそれを聴かなければなりません。

道路脇にある湯船に天然泉が流れ込んでいます。今まで味わった中で一番美味しい水でした。

映画だと、主にアメリカの音楽に関する古い映画やドキュメンタリーをまとめたFolkStreamsというウェブサイトに夢中になっています。ペンテコステ派の蛇使いから、ノースカロライナ州の伝統的な叫び声まで、何でもあるのです。全てが私にはとても刺激的です。

 

毎日の繰り返しがミニマル音楽を反映しているという考えは非常に興味深いですね。私は、そういった繰り返しの中に美しさを見つけられると信じています。心の基本的な要求が一定であり続けると、心がふわふわと自由になれるということに美しさを感じます。そのような機会は、私たちの歴史のこの瞬間においては、恵みだと思うのです。

両アーティストによる新アルバムをチェック。(左)PASSION - 原 摩利彦 (右)Species - Bing & Ruth

 

 

原 摩利彦

京都大学教育学部卒業。同大学大学院教育学研究科修士課程中退。音風景から立ち上がる質感/静謐を軸に、ポスト・クラシカルから音響的なサウンド・スケープまで、舞台・ファインアート・映画など、さまざまな媒体形式で制作活動を行う。ソロ・アーティストとしてアルバム『Passion』『Landscape in Portrait』、をリリース。坂本龍一とのセッションやダミアン・ジャレ+名和晃平「VESSEL」、野田秀樹「贋作 桜の森の満開の下」の舞台音楽、ANREALAGEパリコレクションのショー音楽などを手がける。アーティスト・コレクティブ「ダムタイプ」に参加。

 

 

Bing & Ruth

ビング・アンド・ルースは、NYブルックリンのピアニスト兼コンポーザー、デヴィッド・ムーアを中心とした不定形な室内音響アンサンブル・プロジェクト。ニューヨークのグリニッジ・ビレッジにあるニュー・スクール・フォー・ジャズ&コンテンポラリー・ミュージックで学んだデヴィッド・ムーアは、2006年にビング・アンド・ルースとしての活動をスタート。初期作品はエレクトロニクスとアンビエント・ドローンが交差するサウンド・プロダクションで注目を集め、〈4AD〉からリリースした前作『No Home of the Mind』は米Rolling Stoneなど各メディアから絶賛された。

 

Edit_Ko Ueoka.

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