Them magazine

SHARE
ART
Oct 29, 2020
By KO UEOKA

TOSHIYUKI KONISHI | Internal Criteria

その基準が満たされるときに

幼少期の自身や家族、身近な人々のスナップ写真を元にした人物画を繰り返し描くペインター、小西紀行。参照するのは特定の人物だが、そのアウトプットでは多くの要素が削ぎ落とされている。例えば性別、年齢、人種。ときには顔のディテールも多く省かれ、すべて「Untitled」と名付けられる作品タイトルは何の情報も示さない。過去作にはプールの中で家族の記念撮影をしている写真や、親子が芝生で寝転んでいる写真などが参照されているようで、親密な関係が写されているイメージを多くチョイスしている点は興味深い。ここまで抽象化するなら、赤の他人の写真でもいいのではないか。しかし、そうではいけない理由が、小西にはあるのだ。

 

©Toshiyuki Konishi, Courtesy of ANOMALY

作家は、自身の絵画は「現実と寓話の間(あわい)を描いている」と説明する。幾重にも層を塗り重ねながら、筆、タオル、手指などを用いて、自由で大胆なストロークでキャンバスに描いていく中で、現実は虚構を注入されながら記号的になっていく。そして、展覧会タイトルでもある「内なる基準」に達したとき、やっとその変貌は止まる。このアブストラクトなファンタジーに込められているのは、人と世界、自分と他者という関係性の歪みであろうか。そのために、作品のスターティングポイントが身近な人であることにこだわっているのかもしれない。

内なる基準

TERM 10月24日~11月21日
PLACE アノマリー
ADDRESS 東京都品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex 4F
OPENING HOURS 12:00-18:00(火-木, 土)/ 20:00(金)
URL anomalytokyo.com

小西紀行

こにしとしゆき 1980年広島県生まれ、広島県在住。近年の主な展覧会に「ヨコハマトリエンナーレ2017−島と星座とガラパゴス」、個展「私たちの習性」(2017年 AIKE、上海)など。2016年には、アジア広域で目覚ましい活躍をするアーティストを顕彰する「Prudential Eye Awards」ファイナリストとしてノミネートされた。

 

Edit_KO UEOKA.

SHARE