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MOVIE
Sep 17, 2021
By KO UEOKA

Go See a Movie : 映画館へ行こう! ライナー・ホルツェマー『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』

手は口ほどに物を言う

マルタン・マルジェラ本人が映画に出て喋るという事実は、長らくモードを愛してきた人にはにわかに信じがたいかもしれない。それも、ちょっとコメントを残すのではなく、映画の大部分にわたってかつての《メゾン マルタン マルジェラ》を語り尽くしているのだ。公の場に姿を現さず、インタビューや取材を拒否し続けてきたデザイナーの難攻不落と思われた沈黙の壁を壊し、出演の承諾を得ることができたのは、過去に《ドリス ヴァン ノッテン》のドキュメンタリーを手がけたライナー・ホルツェマー監督。その長けた手腕と経験によって、ジャン=ポール・ゴルチエやカルラ・ソッツァーニ、キャシー・ホリンなどマルタンをよく知る人々への取材を織り込みながら、マルタンの言葉によって《メゾン マルタン マルジェラ》の真実を浮かび上がらせる。

本人の顔出しはさすがにNGだったが、バービー人形やスケッチを弄りながら語るマルタンの手元にカメラの焦点を合わせたことで、よりドキュメンタリーとしての力強さを増したようだ。時代を変えたファッションピースの数々は、その手から生まれたのだから。プライベートな内容もふんだんに登場し、ファッション史において貴重な記録となる本作。これまで沈黙を守ってきたマルタンが、なぜ口を開く決心をしたのだろうか? その理由は語られないが、彼がいまだにファッションへの愛を心に秘めていることは確認できる。

 

マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”

2019年/ドイツ、ベルギー/英語、フランス語/90分
TERM 9月17日〜
SCREEN 渋谷ホワイトシネクイント他全国順次ロードショー
URL uplink.co.jp/margiela

REINER HOLZEMER

ライナー・ホルツェマー 1958年、ドイツ・ゲミュンデン生まれ。80年代にドキュメンタリー映画の脚本、監督、撮影、編集の技術を独学で学ぶ。83年にライナー・ホルツェマー・フィルム・プロダクションを設立。日本での公開作品に『マグナム・フォト 世界を変える写真家たち』(1999)、『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』(2016)など。

 

©2019 Reiner Holzemer Film ‒ RTBF ‒ Aminata Productions

Edit_Ko Ueoka.

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