Them magazine

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MUSIC
Aug 15, 2025
By THEM MAGAZINE

COMING UP Vol.02_06 『LONER』by BARRY CAN’T SWIM

喧騒から身をひき、立ち返ること

世界的な注目を集めるエディンバラ出身のプロデューサー、バリー・キャント・スウィムが、最新アルバム『Loner』を〈Ninja Tune〉よりリリースする。2023年に発表されたデビュー作『When Will We Land?』がマーキュリー賞にノミネートされ、瞬く間にスターダムを駆け上がった彼にとって、『Loner』は飛躍の後に立ち返った“自分自身”を描く、極めてパーソナルな作品だ。本人が「このアルバムは、僕のこの1年の人生をそのまま映し出したもの」と語るように、『Loner』は過密なツアーや急激な成功の最中で芽生えた疎外感や、インポスター症候群と向き合った日々の記録でもある。「自分が何をしているのかわからなくなった時期があった」と振り返る彼は、改めて自分自身と向き合い、その核にある感情や視点を音楽に昇華した。収録曲も、その内省的なテーマと呼応するように、幅広い表情を見せる。アルバム冒頭を飾る「The Person You’d Like To Be」は、不穏なムードの中サイレンのごとく始まりを告げる一曲であり、カリ・ウチスのヴォーカルを巧みにサンプリングした「Still Riding」、ディスコよりの「Childhood Chosen」、オフリンと共作した「Kimpton」や「About To Begin」など、UKエレクトロニック・ミュージックのエモーショナルな没入感のあるトラックが並ぶ一方、「Cars Pass By Like Childhood Sweethearts」や「Marriage」といったノスタルジックな楽曲も収められ、バリーの音楽的レンジの広さを改めて示している。進化と原点が交差する『Loner』は、現在のバリー・キャント・スウィムを象徴する一作だ。フジロックフェスティバル2025への出演も決定しており、その最新モードを体感できる貴重な機会となるだろう。

BARRY CAN’T SWIM

バリー・キャント・スウィム  スコットランド・エディンバラ出身の音楽プロデューサー/DJ。ハウスやブロークンビート、UKエレクトロニカなど多様なジャンルを横断する音楽性で注目を集める。緻密なデジタル・プロダクションと生楽器を織り交ぜたサウンドで、エモーショナルかつダンサブルな楽曲を展開するのが特徴。2023年、〈Ninja Tune〉からのデビューアルバム『When Will We Land?』が高い評価を受け、2024年のマーキュリー賞にもノミネート。

【リリース情報】
ローナー
ARTIST バリー・キャント・スウィム
RELEASE DATE 2025年7月11日
LABEL Ninja Tune / Beat Records
URL beatink.com/products/detail.php?product_id=14799

 

Text_KO UEOKA.

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