Feb 20, 2026
By THEM MAGAZINE
COMING UP Vol.05_06 『SECRET LOVE』by DRY CLEANING
内に秘めた愛と現実をすくい上げる、告白のスポークン・ワード
スポークン・ワードの系譜を現代へと更新するロンドンの特異点、ドライ・クリーニングが、サードアルバム『Secret Love』を〈4AD〉よりリリースする。フローレンス・ショウの朗読的なヴォーカルを軸に、トム・ダウズ(g)、ルイス・メイナード(b)、ニック・バクストン(ds)が紡ぐタイトで実験性を孕んだ演奏が交差するスタイルで評価を築いてきた。今作は、無表情な語り口とポストパンク的サウンドを基盤としつつ、新たなプロデュース体制と開かれた制作アプローチにより深化した意欲作である。80年代初頭のアメリカン・パンクやハードコアが映し出した偏執的な空気に、遊び心や渋みのあるギターリフ、さらに牧歌的なフィンガーピッキングが溶け合う。ショウの冷静で詩的な声は、ローリー・アンダーソンやライフ・ウィズアウト・ビルディングスのスー・トンプキンスへと連なるスポークン・ワードの血脈を、現在進行形のロックに接続。その語りは、内に秘めた思い、他者への信頼と不信、そして現代社会への風刺をこれまで以上に直接的にリスナーへと届けるものだ。プロデュースを手がけたのは、自身もミュージシャンとしても活動するケイト・ル・ボン。「彼らと同じ部屋にいて、その場で流れる生命力や活気を耳にしたとき、まさに唯一無二の表現だと思った」と話し、ケイト・ル・ボンのしなやかな感性がサウンドを立体的に導き、音楽と言葉がその場で立ち上がる瞬間を捉えた作品へと昇華した。静かに熱を帯びながら、現代ロックの輪郭を更新する一枚だ。
【リリース情報】
シークレット・ラヴ
ARTIST ドライ・クリーニング
RELEASE DATE 2026年1月9日
LABEL XL 4AD / Beat Records
URL beatink.com/products/detail.php?product_id=15405
ドライ・クリーニング ロンドン拠点のポストパンク・バンド。2018年結成。フローレンス・ショウの語り口調のヴォーカルと鋭い演奏を特徴とし、これまで〈4AD〉から2枚のアルバム『New Long Leg』(2021)と『Stumpwork』(2022)を発表。
Text_KO UEOKA.