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CULTURE
Feb 26, 2025
By MAMI UKON

Go See a Movie : 映画館へ行こう! ショーン・ベイカー 『ANORA アノーラ』

人生賛歌の傑作

『タンジェリン』『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』『レッド・ロケット』――。これまでアメリカ社会の“声なき声”をすくいあげ、入念かつユーモラスに描き続けてきたショーン・ベイカー監督。そんな異才が最新作で描くのは、人間賛歌の物語。身分違いの恋という古典的なストーリーでありながら、監督史上最もエンターテイメント性が高く、ヒューマニティーに富んだ傑作だ。第77回カンヌ国際映画祭でパルムドール (最高賞)を受賞! さらに第97回アカデミー賞では作品、監督、主演女優、助演男優、脚本、編集と6部門にノミネートされ話題を呼んでいる注目作が、ついに日本のスクリーンに登場!

21世紀のアンチ・シンデレラストーリー

ニューヨークでストリップダンサーをしながら暮らすロシア系アメリカ人のアニーことアノーラは、職場のクラブでロシア人の御曹司イヴァンと遭遇。彼がロシアに帰るまでの7日間、1万5000ドルの報酬で“契約彼女”になる。ラグジュアリーなパーティにショッピング……。贅沢三昧の日々を過ごした2人は、休暇の“フィナーレ”にラスベガスの教会で衝動的に結婚! 幸福の絶頂にあった2人だったが、ロシアにいるイヴァンの両親は、息子が娼婦と結婚したという噂を耳にして激昂。結婚を阻止すべく、まずは屈強な男たちを2人のもとへ送り込む。ほどなくして、イヴァンの両親もロシアから到着。厳しい現実を前に “アニーの物語”の第二章が幕を開ける――。独特の存在感でアニー役を熱演するのは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』や『スクリーム』のマイキー・マディソン。ロシア新興財閥の息子イヴァンを“ロシアのティモシー・シャラメ”の愛称で親しまれるマーク・エイデルシュテインが好演。階級意識や偏見に、抗うアニーの圧倒的なパワーとエネルギーは、観る者の心を鷲掴みにするに違いない。現代のニューヨークとラスベガスに70年代の映画美学を蘇らせている粋な手法にも魅せられる。

©2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved. ©Universal Pictures

『ANORA』

2024年/アメリカ/英語・ロシア語/139分
FILMDISTRIBUTION ビターズ・エンド ユニバーサル映画
TERM 2月28日(金)全国ロードショー

Sean Baker

ショーン・ベイカー
1971年2月26日、アメリカ合衆国ニュージャージー州サミット生まれ。ニューヨーク大学出身(BA)。映画監督、撮影監督、映画プロデューサー、脚本家、エディターとして活躍。本作では監督、シナリオ、製作、編集を務める。

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