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CULTURE
Mar 25, 2024
By MAMI UKON

Go See a Movie : 映画館へ行こう! クリストファー・ノーラン『オッペンハイマー』

リアルな臨場感で描く“原爆の父”の生涯

現代映画界の鬼才クリストファー・ノーラン。そんな彼のキャリア最高傑作との呼び声高い待望の最新作がいよいよ2024329日から日本のスクリーンで公開される。第96回アカデミー賞®で本年度最多7部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、編集賞、撮影賞、作曲賞)受賞の快挙を成し遂げた話題の超大作だ。

天才物理学者の栄光と没落

ノーラン監督が脚本の執筆も手がけたこの実話ドラマの原作は、カイ・バード、マーティン・J・シャーウィンによる2006年ピューリッツァー賞受賞作『オッペンハイマー』(ハヤカワ文庫刊)――。第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト“マンハッタン計画”。この試みに参加したJ ・ロバート・オッペンハイマーは、優秀な科学者たちを主導。世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を耳にしたオッペンハイマーは深い苦悩に沈むように。そして、冷戦、赤狩りの嵐の中、オッペンハイマーは、いつしか時代の荒波に翻弄されてゆくのだった――。

奇跡の競演&最高のスタッフ

オッペン・ハイマーを演じるのは、初ノミネートにしてアカデミー賞主演男優賞に輝いた“ノーラン組の常連”キリアン・マーフィー。原子力委員会のルイス・ストローズ委員長を熱演したロバート・ダウニー・Jr.が助演男優賞に輝き、3度目のノミネートでついに初のオスカーを手にした。脇を固める俳優陣も圧巻だ。エミリー・ブラント、マット・デイモン、ケネス・ブラナー、ラミ・マレック、そしてケイシー・アフレックといった実力派俳優が勢揃い。さらに、“ノーラン監督作”初参加のフローレンス・ピュー、ジョシュ・ハーネットというフレッシュな面々も――。この世界的話題作に参加した最高のスタッフの存在も見逃せない! 本作でオスカーノミネーションを果たしたプロダクションデザイナーのルース・デ・ヨンク、音楽のルドウィグ・ゴランソン、衣装デザイナーのエレン・マイロニックといった錚々たるプロフェッショナルたちが集結(キリアン・マーフィーの衣装は、デヴィッド・ボウイの“シン・ホワイト・デューク期からインスパイアされたという粋なエピソードも)。見どころ満載の作品だが、何といっても天才科学者のドラマティックな人生をIMAXのテクノロジーによって追体験するという没入感には心を揺さぶられる。今、この時代だからこそ観るべき一本。

 

© Universal Pictures. All Rights Reserved.

『OPPENHEIMER』

2023/アメリカ/カラー・モノクロ/英語/180分/R15+
TERM 3月29日(金)〜

SCREEN TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

FILM DISTRIBUTION ビターズ・エンド ユニバーサル映画

URL oppenheimermovie.jp

Christopher Nolan

クリストファー・ノーラン 1970年、イギリス生まれ。子供の頃から8ミリで撮影を始め、1989年に短編「tarantella」が公共放送サービスで放映される。初長編作品『フォロウィング』(98)がロッテルダム国際映画祭タイガーアワード受賞、英国インディペンデント映画祭プロダクション賞ノミネートといった高い評価を受け、“ヒッチコックの再来”と称賛される。『メメント』(00)でインディペンデント・スピリッツ・アワードの監督・脚本賞を受賞。アメコミ ヒーローのバットマンを新たに描いた『バットマン ビギンズ』(05)、『ダークナイト』(08)、『ダークナイト ライジング』(12)の3部作は、その深遠な世界観でアメコミ映画の新潮流を構築し、世界的ヒットを記録。『インセプション』(10)がアカデミー賞撮影賞など4部門受賞、『インターステラー』(14)が同賞で視覚効果賞を受賞。実話の映像化に挑んだ『ダンケルク』(17)ではアカデミー賞監督賞にノミネート。編集賞、録音賞、音響編集賞を受賞。さらにSFアクション映画の大作『TENETテネット』(20)で視覚効果賞を受賞。本作では監督・脚本を担当。

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