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Jan 07, 2026
By THEM MAGAZINE

『オスジェメオス+バリー・マッギー One More 展』

街のエネルギーを表現する2組のレジェンドの世界初コラボレーション

ワタリウム美術館で、『オスジェメオス+バリー・マッギー One More 展』が開催されている。会期は2026年2月8日まで。本展は、アメリカ西海岸を代表するアーティストのひとり、バリー・マッギーと、ブラジル・サンパウロ出身の双子のアーティストデュオ、オスジェメオスによる世界初の本格的なコラボレーション展となる。

バリー・マッギーは1966年サンフランシスコ生まれ。1990年代にはサンフランシスコ芸術基金をはじめとするコミッションワークとして市内各所で壁画を制作し、1998年にはサンフランシスコ近代美術館で巨大な壁画作品を発表、同館のコレクションにも収蔵された。2001年のヴェネチア・ビエンナーレでは世界最大規模の壁画インスタレーションを手がけ、国際的な評価を確立している。また「TWIST」の名でグラフィティ・アーティストとしても活動し、ストリートに生きる人々の姿を一貫したテーマとしてきた。一方のオスジェメオスは、1974年にサンパウロで生まれた双子の兄弟によるアーティストデュオ。ヒップホップカルチャーとの出会いを起点に、ダンスや音楽、壁画運動、ポップカルチャーなど多様な要素を吸収し、鮮やかな色彩と独自のキャラクターが印象的なスタイルを確立してきた。近年では、ワシントンD.C.のハーシュホーン美術館で約1年にわたる大規模個展を開催するなど、その活動は美術館空間へと広がり続けている。両者が初めて出会ったのは1993年、サンパウロで行われたアーティスト・イン・レジデンスだった。それ以来30年以上にわたり交流を重ねてきたが、展覧会というかたちでの本格的な共演は本展が初となる。ドローイング、絵画、彫刻、インスタレーション、パフォーマンス、映像など、複数のメディウムを横断しながら、即興的に空間を構築していく手法が特徴だ。

館内に足を踏み入れてまず目を引くのは、2階の壁一面を使った巨大な壁画である。ワタリウム美術館の象徴ともいえる吹き抜けの壁に、オスジェメオスのキャラクターと、バリー・マッギーによる顔のモチーフが一体となって描かれている。事前に細かな取り決めはなく、会場入りしてから約10日間、現場での対話と即興によって完成した作品だという。同じ2階には、街の一角を切り取ったようなレコードショップのインスタレーションも設えられている。棚に並ぶレコードは彼らが日本各地のフリーマーケットや中古レコード屋で集めたという。音楽との結びつきが強い両者ならではの作品である。来場者は実際にレコードを選び、その場で音楽をかけることができる。

3階では主にバリー・マッギーの平面作品や、ブラウン管テレビを用いた作品が展開される。窓越しに2階の壁画を見下ろす構成により、作品を異なる距離と視点から体験できるのも興味深い。

最上階の4階には、4面LEDと鏡で構成されたアニメーションルームが出現する。無数のイメージが反射し、空間全体が拡張されるような感覚を生み出すこの作品は、オスジェメオスが日本のアニメーション文化への関心から本展に合わせて制作したものだ。

本展は即興性の高い制作プロセスゆえ、意見の調整は不可欠だったというが、オスジェメオスは「家族のような関係だからこそスムーズだった」と語る。バリー・マッギーとオスジェメオスの信頼関係、そしてそれを支えるワタリウム美術館の姿勢が、作品の境界を曖昧にし、空間全体をひとつの作品へと昇華させている。グラフィティからビデオアートまで、膨大な言語と技術を背景に持つ両者の創造のエネルギーを、会場で体感してほしい。

【展覧会情報】『オスジェメオス+バリー・マッギー One More 展』TERM_2025年10月17日(金)~2026年2月8日(日)PLACE_ワタリウム美術館+屋外ADRESS_東京都渋谷区神宮前3丁目7−6OPENING HOURS_11:00~19:00※休館は月曜日(1月12日は開館)公式サイト

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