Nov 14, 2024
By THEM MAGAZINE
Visiting Vintage Store Vol.2「atelier FAM」
atelier FAM
花々とともに、素材にこだわったハンドメイドとヴィンテージを楽しむ。
横須賀中央駅を西口に降りて、目の前の坂道を登っていくと上町(うわまち)エリアがはじまる。ようやく坂を登り終わって、少し歩いたところに「atelier FAM」はある。この街は、大正から昭和初期にかけて建てられた商店や、関東大震災の復興期に多くみられた看板建築の建物が軒を連ね、レトロな雰囲気に包まれている。ここ数年で、古い建物をリノベーションした雑貨店や古着屋、カフェなど、新たな出店が増えているそう。今年8月にオープンした「atelier FAM」は、文化学園大学を今年卒業したばかりの、23歳のオーナー石井俊輔氏が営む古着屋。“atelier”という店名は、学生時代に服作りに励んだ氏によって、古着を再構築したハンドメイドもここで製作されていることに由来している。趣のある店内は、築100年以上もの建物を自らの手で改装したそうで、花や花器、それにまつわる雑貨を取り扱う「Maree Chanter」が併設する。服を見ていると、ほんのり花の香りがしてきたり、柱の隙間から色とりどりの花々が見えたり……。ノスタルジックな空間で、花と古着をゆっくりと楽しむことができる。「素材で服を選ぶのが好きです。アイテムは、天然繊維のものがほとんどで、ニットはカシミヤや上質なウールが多いです」と話す石井氏。店内のセレクトは、良質なコットンのヘリンボーン生地を使用した≪ポロ ラルフ ローレン≫のボタンダウンシャツやカシミヤセーター、40年代から50年代のレタードカーディガン、イギリス軍のウールのミリタリーパンツなど、氏によって厳選されたヴィンテージアイテムが揃う。また、彼がリメイクするアイテムは、一貫して上質なファブリックにこだわっている。フランスの老舗テキスタイルメーカー≪ル・モンサンミシェル≫のハンティングジャケットやストーンウォッシュのリネンコートなどを分解して、手縫いで縫ったり、ハンドステッチを施したり、ときには生地から仕立てるなどして、独自のプロダクトを展開している。ほかに、スキーパンツやコックパンツ、アンティークのシスターの修道服、フラメンコの衣装などが、日常に落とし込めるアイテムとしてセレクトされている。「背景はわからないけど、かっこいいと思って買ってみたものが、後々調べたら面白い歴史的背景があったり、それらも含めてお客様に提案したいと思っています。さまざまなアイテムやデザインに触れることで、自分が作るものの肥しにもなりますし」と話す石井氏。作り手側にいるからこそ、素材やデザインへの細やかな気づきが生まれ、そして、そのこだわりが歴史的背景と結びつく面白いアイテムの発見にも繋がっているのだと実感した。ローカル感溢れるこの温かい街で、花々に癒されながら、選び抜かれた古着を堪能してほしい。
(店舗情報)
OPENING_2024年8月16日(金)
ADDRES_神奈川県横須賀市上町1-45
SHOP HOURS_11:00~19:00(水・木曜日定休)
INSTAGRAM_@atelierfam_ishii
[商品割合] VINTAGE80%:REMAKE20%
[国別割合] USA60%:EURO20%:JPN20%