Apr 30, 2020
By TORU UKON (Editor in Chief)
「これ、買いました。#010」WAREHOUSEのLot 1001 Used Wash
ヴィンテージデニムが好きだ。
30代のころ、血眼になって探していた当時に比べ、ヴィンテージデニムにこだわる人は随分と少なくなったように思うが、それでも古着屋さんを訪ねると《リーバイス》の「66(ろくろく)」などを丹念にチェックしている人を、今も見かける。自分と同じくらいの年齢の人もいるが、20代の若者もいて、お店の人にあれこれ質問しているシーンをみると、何だかうれしくなってくる。
一口にヴィンテージデニムと言っても、好みは千差万別。私はフロントジップの「502」や「505」が好きだ。理由はボタンをするのが面倒だから。1977年、上京して最初に買ったヴィンテージデニムも「502」だった。今のPARCOの場所にあった駐車場で、日曜は小さい蚤の市のような感じのフリーマーケットになっており、そこで2000円で購入したと記憶している。もちろん、この当時はヴィンテージデニムという言葉も意識もなく、単なる古着で、新品の《ビッグジョン》を買うよりも1000円ほど安かったからという理由で買った。
それからおよそ10年後、1987年ころ、当時働いていた『ポパイ』編集部でヴィンテージデニムが流行し、僕もその流れに完全に乗っかった。現在もそのころ集めたヴィンテージデニムがクローゼットに残っている。たまに身に付けるのだが、ウエストあたりがどうも窮屈。さらにレングスもちょっと長かったりする。股間の穴も広がってきたりして。
そんなとき原宿の「ビームスプラス 」で見つけたのが、《ウエアハウス》の「Lot 1105 Used Wash / BEAMS Plus別注モデル」だ。
フロントジップの「502xx」タイプで、フロントジップは《グリッパージッパー》。しかもレングス29インチ! 日本人向けに裾上げしないではける長さだ。なんて心憎い配慮なんだ、と関心したが、これを手がけたのが《ウエアハウス》と「ビームスプラス 」なのだから納得。速攻購入。さらに、《ウエアハウス》の直営店では、ウオッシュ加工に濃淡があると聞き、そこで見つけた「Lot 1606(濃)」もすかさず購入(こちらは現在ソールドアウト)。
はっきり言って《ウエアハウス》があれば、もうヴィンテージデニムを探す必要ない。
《ウエアハウス》は「ヴィンテージ古着の忠実な復刻」というテーマのもと、ひたすらストイックにそれを追求してきた。このブランドが1995年に設立してすぐ、私は鎗ヶ崎交差点を下ったショップで「Lot 1001xx」を購入した経験があった。これを履いていると、みんなが「すごいコンディションのいいヴィンテージ履いてますね?」と声を掛けられていたが、「これ、日本の復刻なんです」と告げると、誰もが驚いた。それほど《ウエアハウス》のポテンシャルは高く、以来ずっとプロダクトとスピリットにはリスペクトしてきた。NIGO®︎君とのコラボにも注目してきた。
ただ、近年の「セコハン」シリーズには、改めて驚かされる。
ついにこの春は《ウエアハウス》のフラッグシップモデル「Lot 1oo1xx」の「セコハン」シリーズが登場。こちらもコロナ禍のリモートワーク中に購入した。
革パッチ、隠しリベットなどディテールも1940年代の501xxを忠実に復刻
昨年まで短め、細めのデニムパンツを好んでいたが、最近は太めが気分。そこで過去の二本とはシルエットの違う「1001」をチョイスした。苦手のボタンフライだったが、絶妙のフェイド(色落ち)、30インチだが、やはり短めのレングス。そしてウエストとワタリも今の体型にジャスト。
自宅のクローゼットには《リーバイス》の「501xx」や「502xx」「505」「66」など数本があるが、実際《ウエアハウス》の「セコハン」シリーズとの見分けがつかない。汚れやダメージがあるか、ないかだけの違い。それなら《ウエアハウス》のほうがストレスがない。
セカンドタイプのデニムジャケットも間もなくリリースされる。
恐るべし、塩谷兄弟。1990年代からのクラフトデニム(レプリカデニム)ブームを経て、勝ち残った《ウエアハウス》の底力に改めて感服。
古着屋さん、ごめんなさい。現在61歳。あと何年生きるか分からないけど、ヴィンテージデニムを探すことはもうないと思います。