Them magazine

SHARE
FASHION
Jul 05, 2022
By THEM MAGAZINE

《ティファニー》がケンドリック・ラマーとのクラウンを発表

カスタムメイドの「いばらの冠」を制作

《ティファニー(Tiffany)》がアーティストのケンドリック・ラマーとのコラボレーションによるクラウン「いばらの冠」を発表した。
ケンドリックは長年のコラボレーターであり、人材育成プロジェクト「pgLang」の共同設立者であるデイヴ・フリーと共に、チタンとパヴェダイヤモンドを使用したカスタムメイドのクラウンの制作を依頼したことで実現したという。このデザインは、ティファニーの革新的なパートナーシップの象徴として、デザイナーや職人が誇る技術とアートの世界をつなぐもの。宗教的図像の象徴として最も広く認識されているシンボルのひとつである”いばら”の冠は、芸術面での優れた能力、謙虚さ、そして忍耐力を表すメタファーとなっている。

 

今回のクラウンの制作にあたり彼らは明確なビジョンを持っており、加えて20世紀を代表するアーティストでもあるジャン・シュランバージェが1956年に《ティファニー》に入社する前に制作した”いばら”のブローチからインスピレーションを受けたという。18Kゴールドで作られた棘のような突起が47カラットのサファイアを取り囲むデザインのこのブローチは、現在イングランド・ロンドンで8月19日まで開催中のブランドエキシビション 「Vision & Virtuosity」で展示中だ。

ケンドリックとデイヴが魅力を感じたデザインは、さまざまなサイズのダイヤモンドが無数に並ぶ石畳のようなマイクロパヴェセッティング。最大限の輝きが引き出されるように隙間なくセットされたパヴェダイヤによって、自然主義的なクオリティが発生した。ダイヤモンドはひとつひとつ手作業でセットされ、プロングは通常は鋳造で作られるところを、職人がまずダイヤモンドを固定したあとに金属をカットして上から折り返して作るという、ハイジュエリーだけに見られる工程を踏んでいる。《ティファニーアンドコー(Tiffany & Co.)》では、19世紀後半から特別なヘッドピースの多くを手作業で製作しており、今回のコラボレーションでもこの方法を受け継いでいる。

ニューヨークにある《ティファニーアンドコー》の工房で10カ月間にわたって製作されたクラウンは、6月26日に行われた「Glastonbury Festival 2022」のステージでケンドリックが着用。キリストを模したクラウンと血が流れているようなメイクアップの彼が、6月25日の米国最高裁判所の「ローウェイド判決」に言及したシーンも話題を呼んだ。

 

《ティファニー》のクラフツマンシップとケンドリックの思いが交差したパワーみなぎる今回のコラボレーション。
両者の今後のクリエイティブにも期待したい。

SHARE