Them magazine

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FASHION
May 15, 2018
By THEM MAGAZINE

【インタビュー】LUKE MEIER as OAMC (アーカイブ)

(2015/4/24発売のThem magazine No. 006 「Their Standard」に掲載されたアーティクルです。)

 

パリの「コレット」をはじめ、世界中のファッショニスタを虜にしているブランド《OAMC》。日本でも「ユナイテッドアローズ」をはじめとした、数多のセレクトショップからラブコールを受けている。現代の最新技術や高機能素材から生み出される、ワークウエアの機能性を活かしたデザイン。新たなリアルクローズの旗手が、メンズファッションに及ぼす影響とは。

 

 

——《OAMC》を立ち上げる前の経歴と、《OAMC》を立ち上げた経緯を教えてください。

 

このブランドを立ち上げる前は、「シュプリーム NY」で長いこと働いていたけれど、自分自身が本当に欲しいものを作りたいと感じたのが《OAMC》を立ち上げたきっかけ。もちろん《シュプリーム》でもある程度、欲しいものを作るという感覚は持っていたけれど、パリに来て自分のスタンスや求めているものが変わったと感じた。例えばショッピングに出かけても、欲しいと思えるものが見つからない。そんな必要性から、《OAMC》というブランドを打ち出すことが最適だと考えたんだ。

 

 

——《OAMC》ではあなたがクリエイティブ・ディレクターとしてパリを拠点にデザインするだけでなく、世界各都市の仲間たちも関わっているとのことですが、彼らは具体的にどのような形で携わっているのですか?

 

このブランドは、僕とArnaud Faehの二人で一緒に立ち上げたんだ。Arnaudがよりビジネス側、経営部門を担当して、僕がそれ以外のクリエイティブな部分を受け持っている。ブランド立ち上げ当初は、僕の非常にいい友人である「UNION LOS ANGELES」のオーナーChris Gibbsとも一緒に仕事をしたよ。とはいえ彼は、今でもいくつかのことでサポートしてもらったりもするが、特に役職があるというわけではなく、相談役的な立場で関わっているよ。他にも、NYの頃から非常に仲良くしている友人のTomoki Ondaが、日本でのディレクターとして関わってくれている。このブランドのいいところは、単なるビジネス関係ではない、良い友人たちと働けていることだね。

 

 

——ファッションを志す頃に、最も影響の受けたカルチャーはなんですか?

 

アメリカ西海岸で育ったので、同年代の若者は皆そうだったように、スケートボードやヒップホップ、パンクロックといったものが僕という人間を形成したと言えると思う。西海岸に住んでいた人なら誰でもそうしたカルチャーに、何らかの影響を受けていたはず。僕にとって特にスケートボードのインパクトは大きかったね。それと同時に、そういったカルチャーに付随するブランドやスタイルが突然広まる現象に興味を持っていた。例えば、《ステューシー》がどこからともなく現れて世間を席巻し、皆がそのTシャツを着出し、まるでユニフォームのようになったのは何故なんだろう? と。そんな分析をするのが好きだったのも、この世界に入る動機のひとつかもしれない。僕はさまざまなカルチャーに興味があって、いい音楽を聞いたとしたら“これをどうやってファッションとして伝えられるだろう?”と考える。ファッションとはその人のムードやアティチュードを表し、自分がどの文化に属しているかを表現する手段だと思うんだ。今でも常にそうした分析をすることに興味をそそられる。僕にとってファッションとは、その人が所属する文化そのものを反映したものだと思っているから。

 

 

——デザインにおいて最も重要だと思うことは何ですか?

 

経験だと思う。旅に出て、色々なものを見ることなどもそう。そのためにも、パリにいるのは西海岸にいたときとは違うところをさまざまに見ることができて、いいことだと思っている。それが一番重要。二番目は、いいマテリアル。そのふたつがあれば、素晴らしいデザインは生み出せるもの。

——(2015 S/Sコレクションの)多くのアイテムに用いられているオレンジのリフレクターモチーフが特徴的ですが、これを採用した理由は何ですか?

 

明るい色やリフレクティング効果のある生地を採用したりするのは、そのファンクショナリティ——機能性——が、我々の考えていることを反映していると思うから。僕らは単に“恰好よく見える”だけのために服を作っているのではなく、いかに服が“機能するか”も、常に考えている。オレンジやイエローが暗闇で注意を喚起するために使われたりするように、機能性も重視しているという意味から来ている。

 

 

——着る人をイメージしてデザインしますか? しているとしたらどんな人でしょうか?

 

まず、自分自身が何を着たいかを考える。次に友人。スタイルを確立している人や、デザイナーなどクリエイティブなことをしている人を考えることが多い。逆に、会ったことのないセレブリティを思い浮かべて“こんな服を着て欲しい”なんてことは考えたりはしないな(笑)。

 

 

――((2015/4/24発売のThem magazine No. 006 「Their Standard」)本号の特集は「スタンダード」なのですが、ワークウエアといった機能的なデザインを高品質の素材に落とし込んだ《OAMC》には、時間を経ても古びないタイムレスな雰囲気を感じます。自身でそのようなメンズウエアにおける「スタンダード」というものを意識することはありますか?

 

スタンダードというのは時に“つまらないもの”“平均的”という解釈もあるから、“いい意味でのスタンダード”として捉えて考えると、ミニマムのレベルが高い、ハイスタンダードであることだと思う。もちろん僕らが作るものは、超ハイスタンダードでなくてはいけない。僕が膨大な時間とエネルギーを割いて、いいファブリックやマテリアルを探し、長時間ハイエンドな作り手やメーカーと共にファクトリーで働いているのも、すべてはそのため。こんなことを言うのはおこがましいかもしれないが、自分たちでメンズファッションの“ニュースタンダード”を創り出したいと思っているんだ。僕はテーラーのベースがあり、昨年はイタリアの最高のメーカーとも仕事をし、ラグジュアリー側にある“本物”を経験している。でも僕自身は北米出身であり、そこで培われた絶対的に失われないユースカルチャーの感覚も持ち合わせている。だからこそ双方を反映させた、コンテンポラリー感とハイエンドクオリティを持ち合わせたものを創ることができる。これからはそれこそが、メンズファッションにおいてのニュースタンダードになっていくと思うんだ。時にビッグメゾンからは、若い世代にアピールするべくスケートボードを小脇に抱えて写っているモデルの広告があったりするけれど、彼らはスケートボードのことなんて何もわかってない。だからそこに深みが感じられない。その裏側にある、深く根付いたカルチャーについてわかってなくては、本物は創れないのに。僕らは両サイドの本質をわかっているからこそ、ニュースタンダードを目指せる。そしてそれが可能なブランドは本当に少ないと思うよ。

 

 

——自身の中で欠かせないスタンダードアイテムはありますか?

 

《リーバイス®》の501や《バンズ》の靴などはスタンダードアイテムだと思うけれども、僕はスタイルをしょっちゅう変えるのが好きだから、特にこれというものはない……まあ強いて言えば“コンバースな人”ではないかな(笑)。それにこれからは、僕自身がスタンダードとなるものを創らないといけないしね。

 

 

——日本でも「ユナイテッドアローズ&サンズ」をはじめ、有数のセレクトショップで取り扱われていますが、日本や東京のファッションについてはどう思いますか?

 

日本というのは、僕にとってある意味最も大切なマーケット。なぜなら、日本の人たちは“ファッションをカルチャーとして理解している”と思っているし、多岐にわたって非常にレベルが高いから。いいものがわかっており、それを楽しむことができる人たち。例えば日本の人は、もしそれがいいデザインでいいクオリティならば、Tシャツでもスーツでも分け隔てなく、同じ感覚で捉えられる。欧米人の多くがそうであるように“Tシャツは若者や貧乏人のためのもの”“スーツは歳を取って稼げるようになってから”といったような、服が持つ社会的通念に縛られていない。クリエイティブであるならば、どんなものでも取り入れられる。僕が日本をリスペクトするのはまさにそこだし、非常にインスパイアリングだと思っているよ。

 

 

 

Interview&Text_ Mamiko Izutsu.
Special Thanks_ Jonathan Ros, Tomoki Onda
Edit_ Junichi Arai

OAMC

ルーク・メイヤーによって立ち上がったメンズブランド。デザイン拠点をパリ、生産拠点をミラノに置くほか、ロサンゼルスと東京にもブレーンを配備し、コレクションを展開する。日本国内での取り扱いは「ユナイテッドアローズ&サンズ」や新宿伊勢丹、など。

oamc.com

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