Them magazine

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LIFESTYLE
Aug 28, 2025
By NONOKA FUJIWARA

口コミ検証飯 Vol.1 鶏舎の冷やし葱そば

「目黒に住んでいて、夏に鶏舎(チイシャ)の冷やし葱そばを食べないのは嘘でしょ」右近亨(『Them magazine』編集長)

 

編集部イチ食欲旺盛な筆者が口コミを検証していく本連載「口コミ検証飯(メシ)」。第1回は弊誌『Them magazine』の右近編集長による「鶏舎」の口コミを検証。検証結果と合わせ、ご賞味あれ。

 

鶏舎に行くには池尻大橋駅と中目黒駅、大橋バス停からが近いらしいが、目黒ではない私の家からはどこも行きづらいため、今回は神泉駅から向かった。

 

暴力的な日差しの下、止まらない汗と空腹で死を感じながら10数分歩くと、店が近づき、最後尾であろう場所に並んでいる人の後ろで歩みを止めた。すると「最後尾は向こうです」と、T字路の奥を指さされた。

お店が見えなくなるほど多くの人が並んでいる。日傘をさす人が多いのも印象的。

「12時前に行くことをお勧めする」という右近編集長のアドバイスのもと、開店10分前に到着したものの、奥には20組を超えるだろう行列があった。確かに並ぶと聞いていたが、ここまでとは。昔は109系のギャルブランドのお姉様方が多く並んでいたそうだが、私の訪問時は大学生くらいの2人組やカップル、サラリーマンなど、列をなす人はさまざまだった。

 

並んでから50分ほど経ったころ、前方からメニューが回ってきた。左上にマジックで書かれた「冷ネギ1150円」の文字。それしか見えていない。店員の女性が行列の注文を聞いてこちらまで来る。前の3組が続けて「冷やし葱そばとスープ」と答えていた。「スープ…?よくわからん」と思いながら自分の番になると、「冷やし葱そばとスープをお願いします」と口が動いた。

「冷ネギ」の名前を見ただけでワクワクしてきた。他のお品書きも「酢ノキイタ辛イソバ」「五目ウマニかけ飯」など気になる美味しそうなものがたくさんあった。

後ろから「冷ネギ、これかなあ」「インスタで見たけどここ毎日行列なんだって」「来た甲斐あったね」と大学生風の2人組の声が聞こえる。元来の人気はもちろん、TikTokやInstagramなどのSNSのほか、今年の5月に《ワコマリア》とのコラボレーションTシャツを販売したこともあり、かなり話題を集める「アツい店」らしい。

鶏舎の外観。やっと先頭まできたところで撮影。

そこから30分経ったころ、やっと店内の厨房前のカウンターへ通されると、目の前には中華鍋を振るう親父さん。右近編集長からは、「親父さんはいつも手首に包帯を巻いていて、辛そうに満身創痍で中華鍋を振ってる」と聞いていた。腕を見やるとそこに包帯はなく、大きな中華鍋をスムーズに振っていた。治ったようだ。

スープ。100円。美味しそう!

着席から10分は経っただろうか。スープが先に到着。金色のスープの表面にはキラキラとした油が浮いている。今すぐ飲みたい気持ちをグッとこらえていると、そこから5分も経たないうちに、ついにきた。冷やし葱そば!

麺の上には千切りキャベツと見紛うほどふわふわに切られた葱、チャーシュー、千切りきゅうり。シンプルだけどこれは夏そのものだ。細めの麺はツルツルとモチモチのいいとこ取りのような食感で、タレがよく絡む。葱のシャキシャキとした食感と同時に、タレの香ばしさが口いっぱいに広がる。葱と合わせて麺をツルツルとすすり、冷たさと塩分に感謝した。美味しい。間をおかずにスープを飲んでため息をひとつ。

 

隣席の客のビールを「羨ましい」と一瞥し、食べ進める。チャーシューはさっぱりとした味付けで、きゅうりの爽やかさは言わずもがな。すべてがちょうど良いバランスで成り立っている。トッピングの配分に気をつけながら半分ほど食べ、味変のためにラー油を2周ほど回しかける。……かなりボリュームがある。右近編集長から聞いた通りだ。

 

親父さんと目が合ったり餃子も食べたくなったりしながら、完食。美味しかった。私は目黒には住んでいないが、確かに夏にこれを食べないのは「嘘」だ。近所に住むなら尚のこと。

 

この冷やし葱そばは毎年6月上旬から8月末まで提供しているらしく、今年はもう終了してしまう。そして、冷やし葱そばの提供中はチャーハンを提供していないようなので、今度はチャーハンを食べに行こうと思う。

 

ちなみにこの日は夜までお腹が減らなかった。

 

冷やし葱そば、また来年。ごちそうさまでした。

 

 

鶏舎

住所: 東京都目黒区青葉台3-9-9
営業時間: 11:10〜14:30、17:00〜20:30(日・祝日定休日)
※水曜はランチのみ。夏季の土曜はランチのみ営業。

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