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ART
Jul 21, 2020
By THEM MAGAZINE

“2020 𝄆 Wardian case 𝄇” by GRIDIN’

都市空間に浮かぶ、ヒトの入れる“テラリウム”

東京・原宿にあるスペース「BLOCK HOUSE」にて、イベントディレクションなどカルチャーサポートを行う集団GRIDIN’主宰、石毛健太キュレーションにより、フラワーアーティストであるコウイチハシグチと作家・渡邊慎二郎の二人展『2020 𝄆 Wardian case 𝄇』が開催されている。

コウイチハシグチは、都内のクラブなどを中心に草花のインスタレーションを展開するフラワーアーティストだ。本展では、会場そのものを一つのテラリウムと考えつつ、さらにその中に観賞用のテラリウムを制作。入れ子状に展開されたテラリウムに鑑賞者を誘い、ホワイトキューブ、引いては会場の建築そのものへのメタなアプローチを試みた。また、この二重のテラリウムは、東京・原宿に位置する会場に溜まる雨水を利用し生育され、都市の中で、人々が自覚できないまま循環していく水という自然を再発見させる。

 

渡邊慎二郎は、植物と人間の関係性を主題に作品を発表してきた作家であり、近作では都市の中に生きる植物をモチーフとしている。本展では植物の運搬をテーマに、巨大な植物を荷車に載せて都市を横断する映像など、複数の作品を発表。都市空間にて植物に対しモビリティを与えることを契機に、あらゆる価値の転覆を起こし、人々と植物の関係を既存の二項対立とは別の形で表現しようと試みる。

 

2人の作家の作品が、互いに高め補い合いながら、会場というテラリウムの中で共生する今展。その緑々しい光景に「都会に居る」事実を一瞬忘れるが、逆にその後には「都会に居る」事実を強くフラッシュバックすることだろう。自分と植物、そして社会と自然との関係について考えることは2020年代のテーゼであり、その意識の種を撒き、育むことこそが今展の目的の一つと言えるかもしれない。

 

 

『2020 𝄆 Wardian case 𝄇』

会期 : 2020年07月18日 ~ 2020年08月08日
場所 : BLOCK HOUSE 4F
住所 : 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-12-9
入場料 : 500円(学生は無料)

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