Them magazine

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MUSIC
Dec 05, 2025
By THEM MAGAZINE

COMING UP Vol.04_05 『TREMOR』by DANIEL AVERY

歪みと静寂が導く没入の果てへ

2022年の前作『Ultra Truth』に続き、名門〈Domino〉移籍後初のアルバムとなる『Tremor』は、ダニエル・エイヴリーにとって最も野心的な作品だ。彼が影響を受けてきたシューゲイズ、テクノ、アンビエントを自在に横断し、独自の感性で新たなサウンドスケープへと導く。セシル・ビリーヴを迎えたリード曲「Rapture In Blue」では、コクトー・ツインズを思わせるメランコリックな世界を構築。続く「Haze」では、耳をつんざくようなハードロックとアシッド・ハウスが絶妙な均衡を保ちながら溶け合い、「Greasy off the Racing Line」では凶暴なベースがうねる。クラブカルチャーとギター・サウンドを橋渡しするように、インダストリアルな質感のなかにダンス・ミュージックの開放性と包容力が滲む。エイヴリーは自身の過去作から続く「歪みと静寂の共存」というテーマを、より豊かな音のパレットを持って描き出した。本作には、ザ・キルズのアリソン・モシャートや、クイックサンド/ライヴァル・スクールズのウォルター・シュレイフェルスなど、多彩なコラボレーターが参加。異なるバックグラウンドを持つアーティストとの共作を通じて、エイヴリーのサウンドはさらに深みを増している。また、ライドのアンディ・ベルがギターで参加し、スマッシング・パンプキンズやナイン・インチ・ネイルズを手がけてきた名匠アラン・モウルダーやデイビット・レンチがミックスを担当。丹念な音響構築が、アルバム全体に独特の奥行きを与え、さまざまなテクスチャーとともに内省と陶酔のあいだを揺らぎ、深い没入へと誘う一作だ。

【リリース情報】

トレモア

ARTIST ダニエル・エイヴリー
RELEASE DATE 2025年10月31日
LABEL Domino / Beat Records
URL beatink.com/products/detail.php?product_id=15261

DANIEL AVERY

ダニエル・エイヴリー イギリス出身のプロデューサー/DJ。ロンドンを拠点に活動。2013年、デビュー・アルバム『Drone Logic』を発表し、クラブ・カルチャーと実験的なサウンドデザインを架橋するスタイルで注目を集める。その後も『Song for Alpha』(2018)、『Love + Light』(2020)、『Ultra Truth』(2022)など、精力的にリリースを続けている。

 

Text_KO UEOKA.

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