Jul 10, 2026
By THEM MAGAZINE
COMING UP Vol.08_01『瀧口修造 書くことと描くこと』
「書く」詩作・評論から「描く」造形作品まで約140点を展観
「実は書くと描くとの境が不明なのである。おそらくその不明さはどこまでもついて回るだろう」——。
昭和期を代表する詩人にして美術評論家の瀧口修造が自身のエッセイにて綴った言葉だ。慶応義塾大学英文科在学中より詩作をはじめ、早くからシュルレアリスムの影響を受け、1930年にアンドレ・ブルトンの『超現実主義と絵画』の翻訳を行った。1930年代から戦後にかけては、ポール・セザンヌをはじめとする美術についての思索と著述を重ねたことで知られる。1960年代から70年代にかけては、実験的技法により自信が「デッサン」と称した造形作品の制作を重ねた。権威主義的でアカデミック至上主義であった日本のアート界の考え方や表現を少しずつ変革し、前衛的な価値観を生み出した日本の現代アート界の精神的支柱であった。
本店は瀧口の造形作品を大規模に公開する初の機会であり、瀧口が着想源や共同制作のパートナーとして交流したジョアン・ミロ、マルセル・デュシャン、草間彌生など、関連する作家の作品も石橋財団コレクションより出品する。1960年ごろ、それまで取り組んでいた評論活動を終え、造形活動に多くの時間を費やすようになる。「書く」ことを通じて世界と対峙してきた瀧口にとって、「描く」こととはいかなる行為であったのか。その問いを手がかりに、一見異なる営みに感じる「書くこと」と「描くこと」が、瀧口の中でいかに地続きのものとして影響しあっていたのかを探る。
たきぐち・しゅうぞう 1903年富山県生まれ。慶應義塾大学で西脇順三郎に学び、当時最新の芸術動向であったシュルレアリスムに関心を寄せ、詩作をはじめる。1930年にアンドレ・ブルトン『超現実主義と絵画』を翻訳、刊行。1950年代には、読売アンデパンダン展の批評やタケミヤ画廊の展覧会活動の作家選定を手がける。1960年ごろから、ドローイングや水彩などの制作に取り組み、初個展「私の画帖から」を開催。多様な技術で実験的に試みた自作の発表を重ね、1979年に病没。
【展覧会情報】
『瀧口修造 書くことと描くこと』
TERM 2026年6月23日〜10月4日
PLACE アーティゾン美術館5・4階展示室
ADDRESS 東京都中央区京橋1-7-2
OPENING HOURS 10:00 〜18:00
(毎週金曜日は20:00まで、入館は閉館の30分前まで)
※休館は月曜日(7月20日、9月21日は閉館)、7月21日、9月24日
URL https://www.artizon.museum/exhibition/detail/604
同時開催:「エットレサス—魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」
Text_RANNA SUGIYAMA(Righters).