Jul 29, 2026
By THEM MAGAZINE
COMING UP Vol.08_3 『WHOLE CALIFORNIA ANTHLOGY 1993-2025』by YASUTOMO EBISU
戎康友が30年に及ぶ取材から切り取るカリフォルニアの断片
長崎出身の写真家・戎康友。写真館を営んでいた祖父と父の影響で写真を撮り始め、ファッション誌のエディトリアルや広告ヴィジュアルの撮影、海外を旅しながら撮影したポートレート作品などを制作してきた。1993年から2025年までの約30年にわたり、カリフォルニアで撮影したアンソロジー『A Whole California. Anthology 1993-2025』。本書の起点となるのは、ある浜辺での出会い。夕景を撮ろうとビーチに佇んでいた戎に、ひとりの少年が「タバコを一本くれないか」と話しかける。その彼は生まれて初めて海を見たと話し、アメリカの哲学者ラルフ・ワルド・エマーソンの書を読んでいた。 この物語的なワンシーンから、本アンソロジーは動き出す。
1960年〜70年代アメリカのDIY建築文化を牽引した編集者ロイド・カーン、ロサンゼルスを代表する現代彫刻家のリッキー・スワローらライフスタイルの先導者である彼らのゆかりの地を訪ねながら撮影した1970年代カリフォルニアへのオマージュ。そそて、セントラルコースト・ビッグサーで行われたアンジーとの、加工に頼ることなく被写体をありのままに捉えるストレート フォトグラフィー スタディー。本書に収められているのは、30年にわたりカリフォルニアに暮らす人々の暮らしや思想、その土地に蓄積した記憶に眼差しを向け、憧憬と敬意を込めた写真家の感覚が滲む一冊となっている。
えびす・やすとも 長崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、写真家として独立。ファッション誌のエディトリアルや広告ヴィジュアルの撮影、海外を旅しながら撮影したポートレート作品などを制作。加茂克也作品集『KAMO HEAD』など多くのアーティストの作品集を手がける。著書に、編集者ロイド・カーン収集の動物の骨を撮影した『BONES』、文筆家・鈴木みのるとの共著で、イギリスの庭を収めた『みどりの王国』がある。
Photography_TORU OSHIMA.
Text_RANNA SUGIYAMA(Righters).