Apr 25, 2025
By THEM MAGAZINE
COMING UP Vol.01_01 『篠原一男 空間に永遠を刻む⎯⎯ 生誕百年 100の問い』

戦後日本を代表する建築家のひとり、篠原一男が遺した空間と言葉
「住宅は芸術である」と唱え、小住宅の設計に多大なエネルギーを費やした篠原一男(1925〜2006年)。東京工業大学(現・東京科学大学)で清家清(1918〜2005年)に学び、卒業後は同大学で教鞭を執りながら実際の設計活動を行った。退職後は自邸兼アトリエ「ハウス イン ヨコハマ」(1985年)で設計などの発表を続けた。また、坂本一成、伊東豊雄、長谷川逸子ら「篠原スクール」と呼ばれる一群の建築家を輩出。篠原に影響を受けた多くの建築家は現在も建築界の第一線で活躍している。個人住宅の存続が困難な日本の社会風土の中、篠原の初期の代表作『から傘の家』(1961年)は2022年にスイスへ移築再建、『白の家』(1966年)と『地の家』(1966年)も原形をとどめたまま継承された。本展では篠原の生誕100年を記念し、生涯を通して自らに「問い」を投げかけ続けたその建築家像を、「永遠性」をテーマに再考する。篠原の言葉から抽出した「100の問い」と、自身の建築スタイルを自ら分類した「第1の様式」から「第4の様式」に沿って構成し、その活動と人間性を浮かび上がらせる。東京工業大学篠原研究室作製の原図や模型、真筆のスケッチ、家具などのオリジナル資料を展示するほか、篠原の「第5の様式」を予感させる未完の遺作『蓼科山地の初等幾何』(2006年、計画案)のスケッチを展示。本展は篠原の遺した空間と言葉を次代に継承するための一助を担うほか、それらを辿ることで篠原の芸術の一端をのぞかせる。
【展覧会情報】
『篠原一男 空間に永遠を刻む⎯⎯ 生誕百年 100の問い』
TERM_ 2025年4月17日〜6月22日
PLACE_ TOTOギャラリー・間
ADDRESS_ 東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
OPENING HOURS_ 11:00〜18:00 ※休館は月曜日、祝日。ただし5月3日、4日は開館、5月6日は休館。

1925年静岡県生まれ、2006年7月没。一貫して住宅と都市に関する建築理論を残し、『住宅建築』(1964年、紀伊國屋新書)、『住宅論』(1970年、鹿島出版会)などを発表。1972年「未完の家」以後の一連の住宅で日本建築学会賞、第12回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展記念金獅子賞を受賞。