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PHOTOBOOK
Apr 22, 2021
By THEM MAGAZINE

KATSUYA KAMO | Kamo Head

生涯追い求めた新しさと強さ

20分程度という短い時間の中で、衣服、音楽、空間などあらゆる要素を総動員し、コレクションの世界観を表現するファッションショー。刹那のインパクトで観客の心を奪わなければならない、そんな“瞬間の舞台”に、日本を代表するヘアメイクアーティスト、加茂克也は必要とされ続けていた。《ジュンヤ  ワタナベ・コム デ ギャルソン》《シャネル》《アンダーカバー》など、名だたるブランドのパリコレのランウェイに携わり、加茂による型破りなヘッドギアは幾度となく観客の度肝を抜き、感動をもたらした。

UNDERCOVER A/W 2000-2001 PARIS ©️UNDERCOVER
JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS A/W 2006-2007 PARIS ©️ JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS

2020年に逝去した加茂の代表的な仕事をまとめた本書は、病床に伏す以前から製作が行われていたという。22年にわたりパリコレを中心としたランウェイで使用された約200のヘッドピースを、全296ページで収録。もともとは衣服やモデルと呼応し、その魅力を引き立たせるために製作されたピースは、その役目を終えて人頭から剥がされた後でも、ヒリヒリとした緊張感を宿している。むしろ無機質で匿名な発泡スチロールのマネキンの上では、複雑な造形と一貫したシンプリシティが際立ち、作品の強度が高まっているようだ。

戎康友によるモノクロームを基本とした静謐な写真や、ストイックなスクエアフォーマットの極限まで要素が省かれた装丁デザインは、加茂自身の気品と精神的態度を表してもいる。稀代のヘアアーティストによる真摯な創造とピュリティが丁寧に封じ込められた一冊だ。

 

¥ 12,100 (tax in)

加茂克也

1965年、福岡県生まれ。88年にモッズヘアに所属しキャリアをスタート。パリ・ミラノコレクションのランウェイをはじめ、著名モード誌や広告ビジュアルのヘアメイクを手がける。2015年「KAMO HEAD」を立ち上げ独立。20年2月死去。享年54。

Photography_TORU OSHIMA.

Edit_KO UEOKA.

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