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ART
Sep 07, 2020
By THEM MAGAZINE

NORITAKA TATEHANA 「Dual Dialogue」in KOSAKU KANECHIKA

「KOSAKU KANECHIKA」にて舘鼻則孝展「Dual Dialogue」を開催。

KOSAKU KANECHIKA」にて、202095日から1010日まで舘鼻則孝展「Dual Dialogue」が開催される。本展「Dual Dialogue」は、舘鼻氏の「KOSAKU KANECHIKA」での4度目の個展であり、新作の平面作品が中心に展示される。 そして、本展ではタイトルにもなっている「Dual Dialogue」を主題として、コロナ禍での外出自粛期間での自分自身との対話、そして過去の日本文化を見直す過程から導かれた要素によって成立する新たなフォームを、絵画作品「Duality Painting」シリーズとして取り入れることに挑戦した。 

 

Duality Painting」について、舘鼻氏は以下のような解説を寄せている。 

 

人における抱擁という行為がふたつの存在をひとつのものに変えることと同じように、「生と死」、「天と地」、「男と女」などの象徴的な異なる要素の親和性を探り、画面上で再構成することで、習合主義(syncretism)を形式的に表現している。 

日本には過去に、神祇信仰と仏教信仰が離合集散を繰り返した上に融合した、「神仏習合」と呼ばれる現象があった。神仏習合では、6世紀半ばの仏教伝来以降、百済から渡ったその教義が日本独自に発展を遂げた理由ともなっており、神祇信仰においても依り代として古くから崇敬されてきた「鏡・玉・剣」などに加えて、神像の制作が為されるようになったことの要因とも考えられる。また、神宮寺や神願寺などのように、神仏習合における融合を形式化し体現したものが8世紀頃より、中央から地方へと広がりを見せていった。その後、明治維新の神仏分離令(1868年)によって古代から続いた神仏習合は禁じられることとなり、民衆による廃仏毀釈運動へと発展した。時を同じくして、鎖国を解き開国という政策を選択した日本は、外国文明の流入を許したことで近代化し、現代日本の姿があると考えるが、そのことからも習合主義の概念は、日本のなかで継承される他国には見ることのない価値観とも言うことができる。 

 

一見すると矛盾している、あるいは対立するものを融合させることにより、新たな意味そして解釈が生まれていく。舘鼻氏が言うように、それは日本の歴史において、私たちが意識する以上に自然に行われてきたものだ。また、異なる要素を並列することで新しい光をあて、よく知られていなかった部分を発見するというアプローチは、美術や学術研究においても使用されてきた。このような思考は、価値の転換が求められる現在、より重要になっていると言える。 

舘鼻則孝 Noritaka Tatehana Heel-less Shoes 2020 Dyed cowhide, pig suede, glass crystal, metal fastener h.26.4 x w.9.0 x d.20.0 cm each Photo by Keizo Kioku ©NORITAKA TATEHANA K.K., Courtesy of KOSAKU KANECHIKA NT-HIS-20-002
舘鼻則孝 Noritaka Tatehana Descending Painting Series 2020 Acrylic on panel 155.0 x 120.0 x 4.0 cm Photo by Keizo Kioku ©NORITAKA TATEHANA K.K., Courtesy of KOSAKU KANECHIKA NT-Pa-20-006
舘鼻則孝 Noritaka Tatehana Descending Painting Series 2020 Acrylic on panel 155.0 x 120.0 x 4.0 cm Photo by Keizo Kioku ©NORITAKA TATEHANA K.K., Courtesy of KOSAKU KANECHIKA NT-Pa-20-007
舘鼻則孝 Noritaka Tatehana Descending Painting Series 2020 Acrylic on panel 155.0 x 120.0 x 4.0 cm Photo by Keizo Kioku ©NORITAKA TATEHANA K.K., Courtesy of KOSAKU KANECHIKA NT-Pa-20-008

日本の歴史、そのなかで育まれてきた独特の美学、文化や思想という豊かな資源を再考することで新たな視点を見出し、未来への可能性を示す。その創作プロセスに触れ、自らの価値観を見つめ直そう。

 

【展覧会概要】

舘鼻則孝「Dual Dialogue

  9月5日(土)〜1010日(土) 11:00〜18:00(火・水・木・土)11:0020:00(⾦)  ⽇・⽉・祝は休廊

ADDRESS:東京都品川区東品川1-33-10  TERRADA Art Complex 5F

TEL.03-6712-3346

kosakukanechika.com

入場無料

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