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PHOTOBOOK
Mar 01, 2018
By THEM MAGAZINE

Photobook JP

アジア最大級のアートフェアから、おすすめの5つの出店ブースを紹介

 

アジア最大規模のアートブックフェア「Photobook JP」が、横浜の「大さん橋ホール」にて開催されている。会期は3月1日〜4日。第一回目となる今イベントでは、世界で活躍する出版社からインディペンデントレーベルまでの、さまざまな写真集の今に触れることができる。

会場にはぎっしりと約40にも及ぶブースが並び、大変密度の濃い空間となっている。写真集を一つひとつじっくり見て、聞いて、話しているとあっという間に日が暮れてしまうほどだ。そんな中から、全国、いや世界の津々浦々からこのイベントのために横浜にやって来たインディペンデントレーベルを中心に、筆者独断のおすすめブース5つを紹介したい。

 

 

1. 「IACK」from 金沢

 

石川県・金沢をベースに活動する写真家、河野幸人氏が週末にアトリエを解放する形で運営するアートブック店。自費出版や独立出版本をメインに扱っており、写真家としてのパーソナリティを反映したかのような、独特のブックセレクトが見られる。3月1日、2日の前半2日間は、自費出版や独立出版本。3日、4日の後半2日間は、オスロの独立系出版社 Multipressにフォーカスした売り場を展開するようだ。日本でMultipressの本を見られるのは、IACKのみのようなのでぜひ手に取りたい。ブースには河野氏の新しい作品集など、作家としてのパーソナルワークも並べられている。河野氏本人がブースに立っているので、作家と話しながら写真集を眺めることができる貴重な機会だ。

 

Instagram @iack.studio
www.iack.online

マドリードで友人と過ごした5日間に撮った写真を収録した、河野氏の新作品集。2冊の本を1ページごと折り重ねて組み合わせ、ひとつの作品とした。作家の記憶とエモーションを辿ることができる。
2. 「Bromide books」 from 北京

フランス人のALEX氏によって、2016年にスタートしたばかりの出版社。会社の登記は香港だが、実際は氏の住む北京を拠点に活動しているという。フィルムの破片や葉っぱなどが挟まったBing Nvによる写真集や、コンピューターにキュレーションさせるという驚きの手法で製作したPhilipp Schmittによる写真集など、一つひとつ個性のたった出版物を発行。「有名ではないけどいい写真家をもっと紹介していきたい」と意気込むALEX氏。日本のフェアにブースを出すのは、今回が初めてとのことだ。

 

Instagram @bromidebooks
bromidebooks.com

3. 「edition.nord」from 新潟

 

新潟・南魚沼市に腰を据え、デザインと出版業を行なっている「edition.nord」。今回展示されていた中で筆者が特に目を引かれたのが、一枚一枚が綴じられずバラバラになった写真集だ。現在、パリを拠点に世界的に活動する現代美術作家、川俣正氏が学生時代(70年代)に撮影した700点近いスナップ写真のシリーズ『フィールド・スケッチ』を3つのテーマごとにボックスにまとめたもの。箱の中にバラバラで入っているのは、作家の部屋の奥底から写真が掘り起こされ見つかった時の状態を再現しているそう。作家とデザイナー/出版社の距離が近く感じられる写真集デザインが魅力的だ。また、「edition.nord」は6月1日~16日まで、東京・渋谷のギャラリー「(PLACE) by method 」にてコンテンポラリー アートブックをレビューするイベントを企画しているそうだ。開催までまだ日はあくが、忘れずに今から予定帳に記しておこう。

 

editionnord.com

4. 「crevasse」from 茨城

 

主にZINEを出版する茨城の出版社。作家と共同でZINEの製作を行うことが多いという。東地雄一郎氏による、2000回コピーを繰り返して”現実を写し出す”という写真のあり方を探った作品や、サユリニシヤマ氏の寄って、グロテスクに魚市場を撮った写真集を出版する。

 

Instagram @crevasse.books
www.crevasse.info

5. 「CONTACT HIGH ZINE」from 東京

 

スタイリスト島田辰哉氏、アー トディレクターYOSHIROTTEN氏、写真家山谷佑介氏の3名が中心となり製作されるインディペンデントマガジン「CONTACT HIGH ZINE」。そのブースでは、最新号 3rd issueが発売されている。併せて、今回多用されているアートワークをモチーフとなった「解体新書」が展示されているので、そのデザインソースがどのように誌面に落とし込まれているのか、見比べて堪能したい。

 

contacthighzine.com

会場では、ここでしか手に入らない特製のタブロイドを3000部限定にて無料配布。豪華参加作家は下記の通り。

参加作家:Yehlin Lee、石川直樹、鈴木理策、広瀬耕平、山谷佑介、細倉真弓、森栄喜、深瀬昌久、Alec Soth、Jonas Bendiksen、Max Pinkers、横田大輔、中平卓馬、阿部祐己、石内都、伊丹豪、尾仲浩二、草野庸子、安村崇、Ed Templeton、Deanna Templeton 、奥山由之、野口里佳、Jungjin Lee 、原美樹子

 

写真家やグラフィックデザイナー、キュレーターが登壇するトークセッションも充実。4日間で9回にわたるセッションにはそれぞれテーマが設けられ、作家の生の声や、写真集を作る際のデザイナーとのやりとりなど、多岐にわたった内容を聞くことができる。

またCAMERA & PHOTO IMAGING SHOW (CP+)では、他にも多彩なイベントが用意されている。写真好き、もしくはカメラ好きなら、この週末に横浜に行かない理由がない。

 

 

Edit_Ko Ueoka

Photobook JP

会期:2018年3月1日〜3月4日
場所:大さん橋ホール
住所:神奈川県横浜市中区海岸通1丁目
時間:10:00〜18:00(最終日は17:00まで)
入場料:無料 ※入場には事前登録が必要
photobookjp.online

出展ブース
赤々舎 / Bromide Publishing House Limited Case Publishing / CONTACT HIGH ZINE / crevasse / Ediciones Anómalas / edition.nord / flotsam books / ふげん社 / GRAF publishers / IACK / IDEA BOOKS / 街道 / KANA KAWANISHI / Libro Arte / MACK / MAGNUM PHOTOS / ナナロク社 / NAZRAELI PRESS / 日本カメラ / 2手舎 / OSHIRIS / PHOTO GALLERY INTERNATINAL / PHOTOBOOK AS OBJECT / PHOTOBOOK WHO CARES Unobtainium Photobooks / POST / RED PHOTO GALLERY / RONDADE / roshin books / shashasha / Shelf / 蒼穹舎 / SPEW / STAIRS PRESS / スーパーラボ / TAP Gallery / twelve books / ユカイハンズ / Zen Foto Gallery

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