Them magazine

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ART
Sep 11, 2020
By THEM MAGAZINE

SHONAH TRESCOTT 『A Minute to Midnight』

カラフルな海に何を見る

雲ひとつない晴れわたった青空。同じく鮮やかなブルーの海には、色とりどりの何やら異質なものが見える。透き通った水だからこそ見通せる、サンゴや海藻だろうか。風景の奥には3人の人間も描かれている。

 

オーストラリアを拠点とするショナ・トレスコットは、「人間と自然の関係」を主題として絵画を制作するアーティストだ。日本では4年ぶりの発表となる今展『ア・ミニット・トゥ・ミッドナイト』では24点の新作が展開され、そのテーマは「Land’s End(陸の果て)」だという。地球物理学の枠組みにおいて 「Land’s End」 は、海と大地、大地と空、空と海の境を隔てることによってかたちづくられた「端」を意味する。

 

作家は、故郷オーストラリアの美しさと儚さを併せ持つ風景に惹きつけられ、今回の作品に取り組んだ。世界遺産に登録された世界最大のサンゴ礁地帯、グレート・バリア・リーフに浮かぶ手付かずの小さな島にある「ワン・ツリー・アイランド科学研究所」に滞在し、気候変動について研究している科学者たちとともに過ごしながら制作を実施。そこは局地的にも国際的にも大きな問題を抱えた場所であり、同時に、未知の領域や科学研究の最先端を探求できる場所でもあった。

 

展覧会タイトルを直訳するなら「真夜中まであと1分」だが、絵画に夜への誘いは感じられない。すると、真夜中とは何を指すのだろうか? 海に見える異質な何かに、奥に佇む人影に、想像が膨らむ。

ア・ミニット・トゥ・ミッドナイト

TERM 9月15日~11月28日
PLACE アンドーギャラリー
ADDRESS 東京都江東区平野 3-3-6
OPENING HOURS 11:00-19:00(火-土、祝休)
URL andogallery.co.jp

SHONAH TRESCOTT

ショナ・トレスコット 1982 年、オーストラリア生まれ。シドニーの国立芸術学校絵画専攻卒業。風景画を中心に「人間と自然との関係」を主題とする絵画作品を制作。科学的なデータ、現地でのリサーチ、想像、そして彼女の私的な物語に結びつく記憶など、さまざまな領域を参照することによって、自然、愛、恐れ、神話の本質を探求する。

 

 

Image_Courtesy Galerie EIGEN + ART Leipzig/Berlin and ANDO GALLERY

Edit_Ko Ueoka.

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