Them magazine

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ART
Aug 20, 2021
By THEM MAGAZINE

TEODORA AXENTE | Listen How the Horns are Growing

飾ることで隠す、アンチノミー

 

目黒区エリアで3スペースを展開していた「104GALERIE」が移転し、3会場を集約した新スペースを中目黒にオープン。その柿落としとして開催されるのがルーマニアのアーティスト、テオドラ・アクセンテによるアジア初個展だ。

クラシックな西洋絵画の画法を用いて描き出されるのは、何やら不思議な衣装を纏った人々。現実と想像が入り交じり、時代感覚が消失した不思議な絵画だ。以前の作品は、アクセンテ自身が衣装制作・空間演出して撮られた写真をもとに描かれ、アルミホイルやビニールといった身近な素材で頭部を覆い、ファーやレース、サテンで煌びやかな衣装を纏う人物を演出する様子は、現代のファッションにも通じるアプローチといえよう。近年では、古典的な肖像画からの引用として、歴史や宗教、神話に登場する要素をデジタルコラージュによって一度再構築し、それをキャンバスに描きなおすという方法で制作を行っている。

 

今展では大型のキャンバス作品を含む計10 点が展示。出展作品には、角が生え変わることで成長する鹿が再生のシンボルとして描かれており、半身が鹿と同化した人物や、人と鹿が共生する空間などになぞらえて、神聖な存在や人間の複雑な内面が表現された。作家が「私の絵の登場人物は美しい衣服や装飾を纏うことで、自分の機嫌や感情を隠そうとしています」と語るよう、物質と精神の二元性に着目して鑑賞してみよう。アクセンテが提示する視点は、我々の実生活にも結びついている。

リッスン・ハウ・ザ・ホーンズ・アー・グローイング

TERM 8月18日~9月11日
PLACE 104GALERIE
ADDRESS 東京都目黒区青葉台 1-20-4 FORCEビル B1F
OPENING HOURS 12:00-17:00
URL 104galerie.com

TEODORA AXENTE

テオドラ・アクセンテ 1984 年、ルーマニアのシビウ生まれ。2004 年にクルージュ芸術大学で博士過程を修了し、現在はクルージュ = ナポカを拠点として活動する。17 年にフリシラス博物館の第 3 回フリシラス賞を受賞。18 年にクルージュ美術館、19 年にフリシラス美術館 にて個展を開催するなど、国際的に活躍。

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