PHOTOGRAPHY BY KIYOTAKA HAMAMURA.
STORY
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HOSHINOYA TOKYO
江戸城の正門に位置し、かつては大名屋敷が立ち並ぶ武士の街として栄えた大手町。日本の経済の中心地に佇む「星のや東京」は、地下2階、地上17階の縦の空間で構成された「塔の日本旅館」だ。東京におけるあるべき旅館として表現したのが、「日本旅館としての滞在体験の繋がりや心地よさ」。オフィス街の中心にそびえる建物の外観は、江戸時代の「粋」の精神を表現した江戸小紋の「麻の葉くずし」柄の格子で覆われ、まるで都会の喧騒から隔離する結界のよう。樹齢約300年の青森ヒバの一枚板で作られた扉を抜けると、非日常の入り口となるワンフロアの玄関が見える。高さ5.5メートル、日本の建築様式の中で最も格式が高い格天井と、壁一面に竹と栗の素材を使用した靴箱が並び、正面奥の縁台にあしらわれた季節の草花が滞在者を出迎える。建物はロビーとダイニング、浴場フロアの他、6室の客室とそのフロアの滞在者のみのためのセミパブリックスペースであるお茶の間ラウンジによるワンフロアが積み重なった構造。館内はほぼ畳敷きで、履物をはかずにイグサの香りと畳表を感じながらくつろぐことができる。伝統的な和のデザインと現代の快適性を兼ね備えた客室やお茶の間ラウンジ、日本各地で生まれた調度品にお茶菓子など、全国から「よいもの」が集まっていた江戸時代のように、日本各地の伝統技術や名産品の数々が「星のや東京」を形作り、空間全体から気づかないような細部にまで「塔の日本旅館」が表現され、「星のや」らしい圧倒的な非日常をもたらしてくれる。
客室やお茶の間ラウンジからエレベーターにいたるまで、館内はほぼ畳敷きとなっている。玄関で靴を脱いでからは、畳を踏みしめながら過ごすことで、日本旅館の懐かしさを思い出すような感覚を覚える。
障子や天井の市松模様、和紙の壁といった空間に、正座の目線を保ちながらも足を崩してくつろげる「畳ソファ」や玄関と同じく竹や栗の素材を用いた調度品など、特徴的な和の空間を演出している客室。日中は、日によって外壁の麻の葉くずしの格子が落とす影が障子に映し出される。
最上階の17階に位置するのは、地下1500メートルから汲み上げる天然温泉「大手町温泉」の内風呂と露天風呂。内風呂を抜けた先にある露天風呂は高い壁に囲われており、自然に視線が空に向かい、季節を感じることのできるような空間となっている。
周囲の喧騒から隔絶され、滞在者が料理や会話に集中するためにダイニングは地下に設けられている。畳敷きの個室と4つのテーブル席があり、個室は他の部屋の入り口すら見えない完全なプライベート空間。半個室のテーブル席は扇柄の格子で覆われた和の空間。格子の木の厚さや幅を計算し、隣室の対角に座る人と目が合わせにくい設計になっている。ディナーでは「もう作られなくなった日本の家庭料理」をコンセプトに、独自の解釈による唯一無二のコース料理がサーブされる。
ひとつの小さな日本旅館をイメージしたというワンフロアは、6つの客室とそのフロアの宿泊者のみが利用できるお茶の間ラウンジで構成されている。ラウンジは客室と畳続きで繋がっており、まるで居間のようにくつろぎながら、お茶菓子や飲み物を自由に楽しむことができる。チェックイン後にはラウンジで日本旅館の主人であるスタッフのお茶菓子とお茶のもてなしから、非日常のひとときへと引き込まれていく。