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CULTURE
Oct 18, 2018
By TORU UKON (Editor in Chief)

【これ、買いました。#007】《HAAG》のボクサーブリーフ

また、アンダーウエアの話。

 

どうしてそんなに肌着にこだわるのか?

 

それは毎日肌に触れるものであり、客観的評価にほとんど晒されることなく、自分だけのこだわりが最大限に許されるアイテムだからではないでしょうか? もう、この歳になると、勝負することなんてまったくないので、女子ウケを狙う必要もなければ、勝負パンツなどという見栄も要りません。雑念を捨て、パンツと真っ直ぐに向き合える年齢になったとでも言いましょうか。

 

そんな私がたどり着いたのが《HAAG》のボクサーブリーフです。

 

これまでボクサーブリーフは《カルバン・クライン》の短めのタイプを履いてました。

 

しかし、3年ほど前に僕の履いていたモデルが生産中止になって、モデルチェンジされました。新型はゴムバンドのデザインや素材、長さなどどれも好みではなかったので、愛用していたモデルが市場から消える前に大人買いしました。しかし、それも2年ほど前からグレイがなくなり、去年には最後の砦だったブラックもロンドンの通販サイトの在庫を私が買い占めて(と言っても残り4着でしたが)なくなりました。

 

そのころ、昔から長い付き合いのスタイリストとパンツ(下着)について話すことがあり、彼曰く「いい歳して、ゴムバンドにブランド名が入っているのって恥ずかしくない?」と突っ込まれました。あまり同意はできなかったのですが、彼がパリの「ボンマルシェ」で《HANRO》のブランド名が一切入っていないブリーフ(一枚1万円以上する代物)を大人買いしているのを見ていると、確かにブランド名がゴムバンドに入っているのは、子供っぽく感じました。とはいえ、僕は一枚1万円もパンツに出せません。

 

買い占めた《カルバン・クライン》のボクサーブリーフはまだストックは底をついてはいませんが、このまま安穏としてはいられません。いつ粗相をしでかし、ストックが急速に消えて行ってしまってもおかしくない年齢にもさしかかっているのです。ブランド名の入ったパンツが恥ずかしくなると年齢いうのは、粗相の危機とも隣り合わせということなのです。一枚1万円のパンツに羨望の目を送っている場合ではないのです。急がねば!

 

そうして出会ったのがこの《HAAG》のボクサーブリーフです。

出会いの場所は伊勢丹メンズ館でした。あの地下のフロアです。

 

目を皿のようにしていろんなブランドのパンツを吟味していた僕に、下着売り場ン十年というベテラン(風の)販売員のおばさん、いや、おねぇさんがかなり自信満々で近づいてきました。「何かお探しですか?」

 

こっちもパンツにはひとかどのこだわりを持っているので、ちょっとハードル高めの条件を口にしました。

 

「はき心地がよく、コットンで、前あきで、丈が短めで、ゴムバンドにブランド名がない、できればグレーで、2000円くらいのパンツ、ありますか?」

 

2秒くらいの沈黙。

 

パンツを売って十何年のベテラン販売員 V.S. パンツにこだわる還暦ファッション編集者。そこにはお互いの間合いを測るような静かだが、熱い想いが激しく交錯したことはいうまでもありません。

 

「勝負パンツ」ならぬ、「パンツ勝負」です!

 

すっと僕の前から消えた販売員のおば、いやおねぇさんが一個の小さなボックスを持ってきて差し出しました。

 

「三重でメリヤス一筋に作ってきたブランドです。ちょっと高いですけど」

 

ボックスからライトグレーのパンツを取り出すと、先ほど僕が言った条件がすべてクリアされていました、価格以外は。¥3600でした。

 

ここで「高い」とは言えません。パンツと真っ直ぐ付き合える年齢になったというのに、ベテラン販売員女性に見栄をはるなんて、俺もまだまだ青いな、と自嘲しながらも、購入しました。

 

パンツ勝負は、おねぇさんの勝ちです。

 

実際に履いてみると、さらに気に入りました。太もものあたりが優しく、数回洗濯してもユルユルにならないのです。

 

コットンは94%ポリ6%は、これまで履いていたコットン100%のパンツよりも肌触りも良く、スラックスやデニムパンツのしたでもゴワゴワせず、ゴムベルトの厚さや硬さもちょうど良く感じました。

 

すっかりこのボクサーブリーフの虜になり(販売員女性の「履いてみれば違いがわかります」の言う通り)、先日直接ブランドのホームページからブラック、カーキもまとめて購入。

 

http://shop-i-haag.jp/shopdetail/000000000011/

 

ただし、残念なのはライトグレーが伊勢丹で購入したタイプよりも、オートミールに近い色(ベージュが強く)になった感じでした。

もう少し、グレーだとうれしいです。肌色だと、おじいさんの下着っぽいので。

 

で、このブランドですが、ボックスをみると、

「Smile Cotton」という会社が作っている商品でした。この会社、3年ほど前に「SHIPS」とのコラボのハイネックT シャツを作っていて、僕はボーダーと白とネイビーの3色を購入していました。

こちらも前年ながら、今は生産中止。「SHIPS」のPRチームの方にお会いしたとき、なんとか再度商品化してもらうようお願いしたのですが、未だ実現しておらず、「Smile Cotton」社のホームページにも、このハイネックシャツはありません。最高の着心地、コストパフォーマンスもよく、サイズ感もジャストだったので、ぜひ、復活していただきたいのですが。

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