Sep 11, 2026
By TORU UKON (Editor in Chief)
コンサバ親父のめし日記 Vol_01
2026年9月10日 「富士そば」の八王子ラーメン+ミニカレーセット
ちょっと驚くような噂を耳にした。よく行く駅前の立ち食い蕎麦屋の「富士そば」に、人気ラーメンのメニューが加わったという。その名も「八王子ラーメン」。そばではない、ラーメンだ! なんでも「富士そば・八王子店」だけで出されていたメニューが口コミで評判となり、チェーン店に広がったという。気になった。元々「富士そば」が好きで、数ある立ち食いそばの中でも、20代のころから特に「富士そば」を贔屓にしていた。しかし、私が行く目黒駅前の「富士そば」には、「八王子ラーメン」のメニューがない。従業員に質してみると、都内約20店舗ほどの限定メニューだというではないか。ぬぁに〜? 「富士そば」を愛してやまない私としては、到底スルーできない案件だ。早速調べてみると、最寄りの「富士そば」は代々木店のようだ。いざ、参ろうぞ!(by『豊臣兄弟!』)
JR山手線で目黒から4駅。しかも西口下車数秒という超便利な立地。秋の長雨が続く日でも傘の必要がないほど。目黒店よりも狭い店内だが、ここに選ばれた「富士そば」だけが出すことのできるメニュー「八王子ラーメン」があるのだ。確かに、自販機にはそのメニューが一際目を引くレイアウトでデザインされていた。単品もあったが、ここは「店がお勧めするミニカレーセット」を迷わずチョイス。
店内は狭いながらも四人の従業員がそつのない動きを見せる。しかし、出てくるのが、ちと遅い。私の後に、隣のサラリーマンが頼んだコロッケそばが出てきてから5分。せっかちな私がそろそろ落ち着かなくなったその時、やっと自分の番号が呼ばれた。そばとラーメンの調理時間にそれほど差があるとは思えないが、「富士そば」愛好家としては、こんなことで「カスハラ」めいた気分になってはいけない、と自分を諌めつつ、箸を取る。レンゲはないのは仕方ない。カレーのスプーンで「八王子ラーメン」のスープを一口。「ん、美味い」。シンプルだが、どこか懐かしく故郷のような味がする。北海道の漁村育ちの私が、「八王子」を故郷のように懐かしむのはおこがましく思う方もいるだろうが、許してほしい。確かにそんな味がするのだ。
そして、驚くように軽いどんぶりには、スープに負けないほどシンプルな盛り付け。薄いチャーシュー1枚、「の」の字も鮮やかなナルト、メンマに白く刻まれたネギ、ハイライトのような1/2にカットされたゆで卵、そしてアクセントの効いた海苔。シンプルだが、美しいハーモニーを奏でるラーメンの具。これ以上でもこれ以下でもない。ラーメンの必要条件を完全に満たしている。トラッド好きを唸らせる見事なキャスティングとアレンジメント。
もちろん、麺も極太麺とか細ストレート麺とかの小細工なし。ド直球の中細麺。これぞ「中華そば」の麺である。音を立てて麺をすする。問題なし。一口食べても二口食べても、どこまで食べても「普通」。「普通のうまさ」ということだ。実はこれがなかなか難しい。「普通のうまさ」を求めて、日々彷徨っているが、そう滅多やたらと出会えるものではない。出汁のきいた塩っぱ目のスープと、小麦粉を感じるカレーのルーを交互に口に含みながら、あっという間に完食。元々早食いだが、待っている時間よりも早く食べ終わったのではないか。最後にカレーについた福神漬けをポリッとやって、スマートにトレイを返却口に差し出す。
美味かった。70点。
これが、わざわざ代々木まで行かず地元で食べられたら80点。期待値の分だけ10点マイナス。全く期待せず、たまたま食べたら美味かったという「めし」が、自分史の中でも記憶に残っており、得点も高い。たまたまその夜、お持ち帰りした女性が、すんげぇ床上手で、何度もタップさせられた--という話を昔友達から聞かされたときから、「無欲の勝利」は「食」にあっても「SEX」においても、日常に埋没している希少な「至福」であることを教えられた。
最後に、「富士そば」は店内のBGMも良い。いつも昭和演歌がかかっている、この日は都はるみ「好きになった人」がかかっていて、「八王子ラーメン」の味をさらに引き立てた。意識高めの蕎麦屋には、チャーリー・パーカーとかかかっている店があるが、あれは不味い。蕎麦には演歌か、民謡が美味い。