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FASHION
Feb 16, 2017
By THEM MAGAZINE

ショーと音楽の濃厚な関係。≪Calvin Klein≫2018AW

ショーと音楽の濃厚な関係。≪Calvin Klein≫2018AW

 


「Raf Simonsの≪Calvin Klein≫、ブラボーでした。」

2/11 0:47 編集長からLINEが届く。前回こんな記事を書いた私だが、この日は終電で帰宅していたのでライブ配信は見られなかった。(言い訳!)

 

まだ未チェックの方は、公式HPで。

“革新的”というよりは、Raf Simonsの、≪RAF SIMONS≫、≪JIL SANDER≫、≪DIOR≫での経験をフルに集約したコレクションだったとおもう。様々な要素に、Raf自身の歴史からオイシイところを引用しているのがわかる。

 

 

さておき、David Bowieが歌う『This is not America』がショー音楽として登場したという。NYコレクション全体が反トランプ政権を掲げ、≪Calvin Klein≫も白いバンダナで人間の多様性を訴えその運動に参加している。そんな中での『This is not America』が政治的な意味を含むことは想像に容易い。

 

 

他にどのような曲が使われたのか気にかかりリサーチしたところ、以下がセットリストであるようだ。

 

私が確認したのは≪Calvin Klein≫公式ランウェイムービーだが、実際のショー最初には『This is not America』 – Sophia Anne Carusoが流れていたよう。

 

SET LIST

(『This is not America』 – Sophia Anne Caruso)

 

『In Dreams』 – Roy Orbison

 

『I Only Have Eyes For You』 – The Flamingos

 

『Suicide Underground』 – Air

 

『This is not America』 – David Bowie

 

 

 

 

勘のいい人はお気づきかもしれないが、この曲選にはなにやら法則がありそうだ。

 

下記に、曲について簡単に記そうと思う。

『This is not America』 – Sophia Anne Caruso

 

亡くなる直前のDavid Bowieが演出した舞台『Lazarus』(2015)のためにアメリカ人女優Sophia Anne Carusoによってカバーされたもの。(彼女も舞台に出演。まだ弱冠15歳!)

 

 

『In Dreams』 – Roy Orbison

 

Roy Orbisonは、アメリカ テキサス州出身のシンガー。この曲はDavid Lynch監督の映画『Blue Velvet』(1986)で使用されていて、あの怖いイメージが付随している・・

 

 

『I Only Have Eyes For You』 – The Flamingos

 

もともとはRay Enright監督作『Dames』(1934)のためにHarry Warrenが作曲したものでThe Flamingosが大胆にアレンジしてカバー。George Lucas監督の映画『American Graffiti』(1973)のサウンドトラックに使用されている。

 

 

『Suicide Underground』 – Air

 

70年代ミシガン州が舞台となるSophia Coppola監督作『The Virgin Suicides』(2000年公開)のサウンドトラックから。Airはエアーじゃなくてエールと読む。(フレンチ)

 

 

『This is not America』 – David Bowie

 

John Schlesinger監督作品『The Falcon and the Snowman』(1985)の音楽を手がけたPat Methenyが、ゲストとしてDavid Bowieを招致して作った曲。

 

そう、すべての曲がアメリカ映画のサウンドトラックの一部なのだ。

 

『The Virgin Suicides』の甘いパツキンガールズや、『Blue Velvet』のアメリカ的狂気・・・曲を通じて映画が持つ様々な年代/イメージ/物語を来場者の頭に浮かばせ、多層的に“アメリカ”を想起させる構造となっていてなんとも興味深い。ショー音楽の演出はMichel Gaubertの手によるもの。恐るべし。

 

 

“多様性”を認め合うことは、今のアメリカの、いや全世界における課題であり、時代のムードに即したテーマ設定だといえる。テーマを掲げるだけなら簡単だが、Rafの≪Calvin Klein≫は徹底的に、様々なアプローチで表現してみせた。≪Dior≫を辞めたRafのやりたかったことは、クリエイションから広告、コマースまで、ブランド全体がダイナミックに何かを表現する強いブランド展開だったのだな。とにかく、素晴らしいデビューコレクションだった。

 

 

アメリカ、行ってみたいなあ。

 

 

 

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Apple MusicでこれまではアップロードされていなかったPrinceの楽曲が聴けるようになった。嬉しい。

 

彼が昨年亡くなった直後に、TVショーでD’Angelo がカバーした『Sometimes it snows in April』。Princeっぽい(違うか?)スタイルで登場した彼は、涙ぐみ途中で歌えなくなってしまう。歌詞を考えると、こちらまで目が潤んでくる。

 

これまであまり聴いてこなかったPrinceだが(Apple Musicのおかげで全くTSUTAYAに行かなくなったから・・。)、これからはもっと聴いてみたいとおもう。

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