Them magazine

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FASHION
Aug 18, 2016
By TORU UKON (Editor in Chief)

ファッション雑誌講座 第4回「なぜ左開きなのか?」

『Them magazine』は左開きです。
「俺は右利きだから、ページがめくりにくいんだけど」というクレームもよく伺います。
申し訳ありません。

 

でも、ブリーフィング用のコピーなどをホッチキスで留める時は、左上に留めろ、と教わった人もいるようです。
それは、右手でペンを持つので、コピーをめくるのは左手のほうがめくりやすいから、という理由だそうです。
なるほど。

 

でも、雑誌を右開きにするか、左開きにするかは明確な理由があります。

 

それは、雑誌の文字組によります。

 

右開きの雑誌は、文章が基本、縦組みです。右上から左下に読んでいく。これには右開きが読みやすく、我が国の書物はほとんど、縦の文字組で右開きです。

 

左開きの雑誌は、文章が横組です。左上から右下へと読んでいく。
これは、欧米の書物のポピュラーなスタイルです。いわゆる横文字と言われているくらいですから、
左から右へと文字は流れていきます。

 

質問:なぜ、日本語なのに、左開きなのでしょうか?

 

『Them magazine』は日本の雑誌で、日本語で書かれています。でも、文字は横組で左開き。要するに欧米スタイルをとっています。

 

答え:ファッション写真重視のデザインだから。

 

わかりやすく言うと、長い文章などはもちろん日本語で書かれているのですが、
タイトル(見出し)、スタッフクレジット、衣装クレジットなど、ファッション写真の掲載されたページの文字は、
横文字(欧文)が多いからです。そのほうが、ファッションページをデザインしやすいのです。

 

女性誌などでは、ページの右側に一行、見出しがあって、その横にやはり縦にスタッフクレジットが(漢字やカタカタで)掲載されています。でも、価格などの衣装クレジットは横組でデザインされています。このスタイルもすっかり定着して、まったく違和感はないのですが、
その日本的なファッション雑誌のスタイルと、多少なりとも一線を画したい、という差別化を狙ったのが、左開き、文字の横組なのです。

 

ちょっと、かっこつけたい。他と違うように見られたい。ってところでしょうか。
それ以上の意味はありません。
もちろん、左利きが多いから、という理由でも、会議のレジメの慣れているからでもありません。

 

ちなみに、欧米のファッション雑誌では、掲載されている洋服のブランドやアイテムはクレジットされますが、価格は表記されません。
日本の雑誌による真面目なサービスです。日本の雑誌は本当に素晴らしいと思いますが、小誌はバイヤーズガイドにあらず、と再三言い続けているので、価格は表記しなくてもいいかな、とも考えています。しかしながら、現在も原則的に価格を記載しているのは、それくらいのサービスを断固拒否する理由もないかな、というところです。

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