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BOOK
Dec 03, 2016
By TORU UKON (Editor in Chief)

期待の時代劇漫画『いちげき』

時代劇が好きです。
とくに漫画が。

 

最近、繰り返し読んでいるのは、『いちげき』。
松本次郎・画、永井義男原作。
月刊コミック『乱』にて連載されていますが、この度やっと単行本化となりました。

この作品の舞台は、幕末、革命前夜の江戸。

 

西郷隆盛の命により、散発的なテロで幕府を挑発する薩摩志士と徒党を組む浪人たち。

 

彼らを成敗するために勝海舟の命によって、江戸近郊の力自慢の百姓が集められた。たった数日でサムライへと育成された彼らが、身分と貧しさを呪うハングリーさだけを頼りに、薩摩のテロリストたちを強襲する。無様ながらもパンキッシュに斬りまくる百姓たちの爽快さに、胸がすく。

 

時代劇漫画の魅力は、以前どこかでも語りましたが、
“エロ”と“グロ”です。

 

人間の生々しい業や欲がしっかりと描かれることにより、 自分の心の奥底に鍵を掛けられて仕舞われていたダークサイド感情が解放されるような快感。 そこをストレートに刺激してくれるのが時代劇漫画です。

 

この『いちげき』でも、刀の刺し方や刺され方、肉の斬られ方が、すごい迫力で描かれています。 これは映画やドラマでは表現できない、時代劇漫画ならではの魅力です。 また、生と死の間で強烈に発散される性の描かれ方も、時代劇漫画ならでは。 これは映画のほうがインパクトは強いかもしれませんが、女優への個人的感情にも左右されるので、 漫画で想像を膨らませることを愉悦としましょう。

第2巻が楽しみです。 それまでは、名作『腕 駿河城御前試合 上/下』(森秀樹・画 南條範夫・原作)を、朝のトイレに持ち込むことにします。

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