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Editors Voice
Aug 30, 2025
By JUNICHI ARAI

DIE引き 2025F/W #01 ACRESのLeather Sandal

9月はもはや夏とカウントしたほうがいいのではないか?と思うほど暑さが続いてますが、ファッションカレンダーではシーズンはもうすっかり秋冬。8月24日発売号では、Tシャツ短パンとは対極を行く重厚感のあるテーラードスタイルが誌面を飾っています。

そんな中、毎週のように届くのが半年前の展示会でオーダーしたアイテムの数々。フリースやウールパンツなど、今は見るだけで体感温度が0.5℃上がりそうな冬服がクローゼットに溜まっていく。。。

今は着れなくとも、目の前にある“最新作”をなんとか有効活用したい。。。という貧乏根性から、今季買ったもののいくつかをここで紹介していこうと思います。(かつて『HUgE』というメンズファッション誌があり、編集部やその周りの人々がTwitterやInstagramで使用していた”#DIE引き”というハッシュタグ。生活苦になりそうなほど届き続けるオーダー品の到着=代引きとをかけた、これ以上ない妙言をタイトルに拝借しました)

レザーシューズのようなオーバル寄りのラウンドトゥ

暦ではもう秋になるこの時期に、海を超えて届いたのが沖縄にあるショップ「ACRES」のレザーサンダル。「SUPER A MARKET」や「LAND OF TOMORROW」のバイヤーを務めた田辺雄一郎さんが、今年7月に沖縄の那覇から車で3-40分ほどにある北谷町に「ACRES」をオープンしました。

 

まだお店を実際に訪れてはいませんが、足を運んだ人々は口を揃えて「素晴らしい」と絶賛。現在は古着とオリジナルをラインナップしているそうで、古き良きアメリカのカジュアルスタイルを、ユーロピアンなメゾンやモードブランド、ヴィンテージを通して上品に表現している田辺さんのスタイルが反映されているようです。ちなみに販売中の最新号でも、エレガンスをテーマにスタイルやもの選びのこだわりを語ってくれています。

そんな「ACRES」が最近リリースしたのがこのレザーサンダル。巷では超高級なビーチサンダルが世間を賑わせましたが、日本の某シューズブランドのデザイナーが手がけたという一足は、まるでドレスシューズのような趣。単にゴム製のビーチサンダルをレザーで仕立てようなものではない、履いても置いても佇まいが美しいサンダルを実現させるという趣旨で作られたそう。

レザーシューズのようなラインを描き、人間の歩行に合わせ斜めに入った中心軸。足の設置面がトングしかないビーチサンダルのフィッティングを考慮した、タイトに設定したトング部分(最初の数回は靴擦れが起きるそうですが、履いていくにつれ慣れていくそうです)。アッパーはイタリア・トスカーナ産のフルベジタブルタンニンで鞣したレザーを2.8mmに整え、裏面は毛羽立たないよう処理し、表面はアイロン仕上げに。アスファルトの多い日本に適した、摩擦に強いクロコダイル柄のアウトソールはフランスの《TOPY》社のもの。真鍮製のリベットなど、履き心地はもちろん使い込むほどにツヤや風合いが深まっていく、経年変化を楽しみながら長く履いてもらいたいという想いが伝わってきます。ファッションやものづくりに真摯にリスペクトを払う、田辺さんの誠実さが具現化されたような一足です。

光沢のある美しい仕上げ
ゴム製のビーチサンダルのフラットなそれとは段違いの履き心地。履くと背筋を伸ばしたくなるようないい緊張感があります。

これ以上暑い夏が続くのは耐えられないと思っていましたが、このサンダルをまだ履けると思えば、少しは我慢ができそうです。

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