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FASHION
May 09, 2017
By THEM MAGAZINE

Them#013 撮影の舞台裏

Them#013 撮影の舞台裏


先日発売されたThem最新号「アーティスト特集」。
本日はその最新号に掲載された計7本のファッションストーリーのうち、“マリンスタイル”をテーマにした「go with the flow」を担当したので、その舞台裏をご紹介します。

 

フォトグラファーは岡本充男さん、スタイリストは小橋淳子さん、メイクは津田雅世さん、ヘアはロンドンから一時帰国していた小戸紀代子さん。
こちらのスタッフで4月上旬、都内のスタジオにて撮影を行いました。

 

事前に念入りに打ち合わせを重ね、スタイリスト小橋さんを中心にプロップ(小道具)を用意しました。都内のプロップ屋から借りたものが主ですが、中にはフォトグラファー岡本さんが沖縄旅行の際に持ち帰ってくれたサンゴや、僕の実家(宮古島)直送の海藻や流木も。(そのせいでスタジオが磯臭かった、、、)
これだけたくさんのプロップを用意しても、大抵の場合使われるのはごくわずか。それでも「あれがあれば良かったのに」とクリエイターが嘆かないよう万全の準備をしておくのが編集者の宿命です。

 

こちらはマリンテイストの小物たち。これでもほんの一部。これだけの量を集めてくれた小橋さんと、貸してくれた各ブランドに感謝です。

ヘアメイクと着替えが終わったらいよいよ撮影スタート。今回はモダンさを演出するため、バックにただカラーペーパーを垂らすのではなく、特注した大判の板にペーパーを貼り付け、それをさらに10センチほど浮かしました。さらに砂をただ敷き詰めるだけでなく、下敷きにパープルのパンチカーペットを使用。そうすることによって生まれるちょっとした“違和感”。この“違和感”や細かなこだわりの積み重ねが、一つのストーリーとなったときに効いてくるのです。
↓こちらの見開きをみればそれがわかるはず。右ページのちょっとした紫や黒い隙間があるのとないのとは大違いです。結局左のルックは中のシャツを脱がせ、さらに青い貝殻の物撮りしコラージュしました。

撮影ではあらゆる可能性を追求します。組みのカットのチャレンジもその一つ。複数のモデルを使うことによって、予期せぬ化学反応が起こったり、ストーリーにアクセントをつけることが出来ます。ただし、同性同士の組みカットは難易度高め。そこに何かしら関係性のようなものが生まれ、違った種類のファッションフォトになってしまうときが多々あるからです。このときも結局写真のテンションが他と合わず、残念ながらボツとなってしまいました。

こちらは扉カットの撮影の様子。長時間の撮影なのに加え、パンツ一丁で砂まみれにさせられるモデルのマイケル。それでも文句を言わず絶妙なポージングを連発していました。これぞプロモデル! また一緒に仕事したいです。

 

計4回の打ち合わせを経て、約10時間かけて撮影。でも、大変なのはここからです。なぜなら”セレクト”という一大作業が待っているから。

「写真はセレクトで決まる」。至極当たり前のことですが、それがとても大事なことなんです。最後の仕上げであるセレクトとレイアウトは、撮影と同じ、あるいはそれ以上に大切な作業。すぐ終わるセレクトもあれば長〜い時間かかる場合もあります。今回は撮れ高がとても高く、さらにコラージュやシークエンスカットを多用したため、セレクトは自ずと長期戦へ。1日では終わらず、二日間、それも15時間以上にわたるセレクトとなりました。

 

いろいろな思いが詰まった16ページのロングストーリー。ぜひ、店頭でご覧ください。

 

大城

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