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LIFESTYLE
Aug 11, 2023
By THEM MAGAZINE

あなたの下着、見せてください vol.1 野口強さん

下着は外から見えないが、一番体に近い存在。どんなに着心地の良いトラウザースやシャツを身につけようとも、下着の着心地が悪ければ何の意味もない。服の最上級を知るエキスパートたち。彼らはきっと下着もキャリアに裏付けられた審美眼で選んでいるに違いない。そこで訊いてみた。「あなたの下着、見せてください」。第一弾は、スタイリストの野口強さん。

 

「履いていてストレスにならないこと。こればっかりは買って履いてみないとわからない」

―本日お持ちいただいたのは2点ですか?

《ハンロ(HANRO)》と《ヅィメリー(zimmerli)》のボクサーブリーフ。5,6年前からこの2種類を使ってるかな。

 

―どちらも130年以上続くブランドですよね?

両方ともスイスで創業しているんだけど、元が生地メーカーだけあって、素材と肌触りの良さが他とは比べものにならない。

 

―なぜこの2種類なのですか?

まず形はボクサーが良くて。それから素材がとても重要だから《ハンロ》や《ヅィメリー》の他にも、信頼できるメーカーのものをかなりの種類を試した。その中でもこの2つが、素材が良くて体型にも一番合っていた。色は黒かグレーかネイビー。《ヅィメリー》の方はネイビーの展開もあって少し珍しいよね。

実はこの2種類は使い分けていて、デニムとかカジュアルなときは《ハンロ》、スラックスとかスーツスタイルのときは《ヅィメリー》を履いている。《ヅィメリー》の方が生地の目が詰まっていて薄くシャリッとしてフィット感もいい。《ハンロ》は全体がもう少しゆるくて腿で締めるタイプ。生地感やフィット感でシチュエーションに合わせて使い分けている。

 

―他に気に入っているディテールはありますか?

腰のゴムにロゴが入ってないのがおじさんにはありがたいね(笑)。ゴムが生地でくるんであるのも肌に優しい。シームがフラットな箇所が多くてゴロつかないのもいいね。

 

―どちらも正面に窓がついていませんね。

ガッと下ろしてすればいいんだよ(笑)

《ハンロ》シーアイランドコットン100%のボクサーブリーフ、パリの「ボンマルシェ」にて75€
《ハンロ》正面
《ハンロ》腿のリブでフィット感はキープされるが、キツさは感じない
《ハンロ》裏面のシームはフラットで美しい仕上がり
《ヅィメリー》ピュアネスシリーズ、同じくパリの「ボンマルシェ」にて69€
《ヅィメリー》正面
《ヅィメリー》腰のゴムが細めで、《ハンロ》よりもドレッシーに見える
《ヅィメリー》シャリっとした生地で、強撚ウールのような質感

―パリの「ボンマルシェ」でまとめ買いされていると聞きました。

そう。年2回パリコレで行った時に、10枚ずつ買ってきてる。パリで一番買っているのはパンツだね。

日本だと《ハンロ》と《ヅィメリー》は欲しいものが売っていなくて、パリで買うかネットで買っている。日本人は下着にあまりお金を使わないよね。だからデパートに行ってもラインナップが物足りなくて、3枚パックとか、ロゴが入っている分かりやすいブランドものが溢れている。ロゴが入ってなくて上品かつ素材が良いものは《ハンロ》と《ヅィメリー》くらいに限られてくるんだけど、その中でも安いものしか置いてなかったりするから、自分に合うものは海外で買うしかないんだよね。

 

―昔からボクサー派ですか?

そうだね。もちろんトランクスとかブリーフも試しはしたけど、昔からボクサーを履いている。1つだけ特別なのは、80年代に出ていた《エルメス(HERMÉS)》のシャツ地のトランクスで、それは気持ちよくて夏になると家で履いてたな。ギンガムチェックとかストライプとかの色柄も上品で好きだった。また作って欲しいね。

 

―行き着いた2着ですが、まだ改善点はありますか?

他のブランドよりは随分いいんだけど、特に黒のものは色落ちしないといいなと。乾燥機に入れるとやっぱり当たりが出てしらっちゃけてくる。耐久性は意外と高くて5年くらい履けるところは良い。

 

―最後に、下着において何が一番大切でしょうか?

履いていてストレスにならないこと。こればっかりは買って履いてみないとわからないから、食わず嫌いせず、ちゃんと授業料を払って自分の体に合うものを探す旅だと思うよ。

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