Apr 30, 2025
By THEM MAGAZINE
BRAND STORY: uka Regenerative and Total Beauty Vol.3
美容は単に「飾ること」ではなく、自分自身を“回復”させるプロセスだ。疲れた肌を整えること、清潔な髪を保つこと、健康な爪を育てること。それらはすべて、よりよい自分でいるための手段であり、毎日のパフォーマンスを高めるための行為でもある。トータルビューティーを提案し、東京を中心にサロンを展開する《ウカ》は美容を回復と捉え、心が満たされ内側から生まれる輝きを「きれい」と定義づけている。“本物の技術・本物の感性・本物の気配り”を理念に掲げ、サロンで技術を提供しながらお客様の声を反映したサロン発の製品作りを行い、サロンとホームの2軸で自身を「ケア」することの大切さを唱える《ウカ》。今回、代表取締役CEOの渡邉弘幸氏と、《ウカ》代表でありトップネイリストの渡邉季穂氏、そして季穂氏を含めたサロンに立つ技術責任者5人に、ブランドの歴史とあり方、そしてその核について伺った。

《ウカ》が目指す「ナチュラルモード」な美しさ ⏤保科真紀 (《ウカ》 トップヘアスタイリスト / クリエイティブマネージャー / 製品開発)
“ナチュラルモード”という概念を追求する《ウカ》のヘア部門。《ウカ》に入社して18年を迎えるヘアスタイリストの保科真紀氏は、トータルビューティーについて、「お客様をチームで囲み、その人の素を生かし、理想像をつくり上げる。それが私たちのトータルビューティーであり、一番感動的な瞬間です」と語る。氏が特に大切にしているのは、クリエイティヴなヘアデザインと日常でのリアルなスタイルを、絶妙なバランスで混ぜ合わせる考え方だ。
「クリエイティヴなヘアは美容師の目線では素晴らしくても、一般の方から見ると『すごいね』で終わってしまうことも多い。クリエイティヴとリアルの両方の視点を持つことで、ほんの少しの違和感や遊び心を加えたスタイルが提案できると思っています」と保科氏は続ける。
保科氏が目指すのは、ただ「綺麗にする」だけではなく、お客様が自分自身を好きになれる美しさだ。「スタイルを変えたいから美容室を変える」のではなく、「スタイルを変えたいから相談しよう」と思ってもらえるような存在でありたい。そのために保科氏は、日々のお客様への提案の中で「まだ勇気は出ないと思いますが、こういうのも似合うかもしれませんよ」と、あえて新しい可能性を示しておくことを意識しているという。
「お客様は『この日に向けてこうなりたい』という明確な目標を持つ方もいれば、自分のスタイルを模索している方もいるので、慮る力や想像力が美容師の仕事には大切だと考えています。その“慮る力”というのが、私にとって《ウカ》が唱える“本物の気配り”の重要な要素です。『この人なら自分の新しい魅力を引き出してくれるかも』と思ってもらえるような関係性を築くことが大切。それができる美容師でありたいです」と、研鑽を続けている。
「私たちのトータルビューティーは、何人ものスペシャリストがひとりのお客様の“ビューティー”をつくり上げるということ」 ⏤中田巧樹 (《ウカ》 トップカラーリスト)

《ウカ》トップカラーリストの中田巧樹氏によると、コロナ禍でハイトーン人気が高まり、髪色に対する価値観が変化したが、最近はその反動も見られるという。「暗い=良い、明るい=格好いいという単純な基準ではなく、『その人に似合う色』が求められる時代になりました。ライフスタイルも考慮したデザインが重要になっています」。そして、それを踏まえたトータルビューティーについて、「《ウカ》ではそれぞれの分野に特化したスペシャリストが連携して施術を行います。デザインの意図を共有しながら、ひとりのお客様の“ビューティー”をつくり上げることが、私たちが提案するトータルビューティーの魅力です」と、彼らならではの施術を伝える。
《ウカ》は、髪に優しいオルタナティヴなヘアカラーとして国産の“ヘナ”を採用。「ヘアカラー市場に新たな風を吹き込みたい」という思いから、従来のヘアカラーに依存しない新たなヘアケア文化の確立を目指している。近年、カラー剤に含まれる“ジアミン”によるアレルギーが増加し、普段からカラー剤に多く触れる美容師たちも、アレルギーを発症している人が多いという。そのアレルギーを持っていても、安心して使用できるカラー剤がヘナだ。
多くの利点を持つヘナだが、サロンでの導入時は「カラーチェンジが難しい」「色の選択肢が少ない」といった先入観が壁となった。そこで中田氏は「1000人のモデルで検証し、仕上がりはもちろん、ヘナをやめるときに色を戻す方法まで研究しました」と振り返る。実際にサロンスタッフが試し、その価値を実感することで意識は変わっていった。
ヘナの最大の魅力は、髪へのダメージがほぼゼロであること。一般的な「ダメージレスカラー」はダメージを軽減するだけだが、ヘナはそもそも傷める成分を含まない。《ウカ》ではサロンだけでなく、自宅でのケア用プロダクトも提供しており、「3〜4カ月に一度来店し、その間はホームケアで染める」という使い方も可能だ。「ヘナはカラーの幅があり、デザインカラーも楽しめます。ぜひ一度、その可能性を体験してほしいです」
サロンの枠を超えたヘッドスパ ⏤大友麻莉子 (《ウカ》 ヘッドスパスペシャリスト / 製品開発 / 毛髪診断士)

「ケンザン」というスカルプブラシから《ウカ》を知った、という人も少なくないだろう。ケンザンはサロンの施術で使用され、自宅でもヘッドスパの施術を再現できるように開発されたアイテムだ。
《ウカ》ヘッドスパ部門のマネージャーとして施術を行いながら、技術者目線での製品開発も行う大友麻莉子氏によると、「『ケンザン』は元々、サロンで施術を受けたことがない方が主に購入していた」という。しかし、COVID-19の流行で多くの人が自宅で過ごすことを余儀なくされた中で、「《ウカ》のヘッドスパ」を自宅で擬似体験できるアイテムとしてSNS上で紹介することに尽力した結果、現在はネイルオイルに次ぐ主力製品に。《ウカ》のヘッドスパは「サロンで受けるもの」から、「自宅でも取り入れられるケア」として広がりを見せている。
「私たちはどの施術でも『セルフ時々サロン』を大事にしているので、ホームケアが要です。自分に合ったケアを毎日無理なく続けてほしいという思いから、SNSでは製品の使い方や多数のマッサージ方法などを発信しています」

「カットやカラーで来店するお客様には、生え際の後退や抜け毛、白髪のほか、毛が細くなり柔らかくなることで理想のスタイルがつくれない、という悩みを持つ方がいます。ヘッドスパで土台を整えることは育毛ケアの観点からも重要。即効性があるものではないので、じっくりとお付き合いしながら、ヘアのチームとも連携しています」
ヘッドスパはリラックスできるだけでなく、続けることで頭皮と髪の健康を守り、育てるもの。大友氏は今後も、サロンとセルフケアの両方から、ヘッドスパの魅力を広めていく。
「皮膚に男女は関係ありません。むしろ、今まで何もやっていなかった人ほど変化を実感しやすいと思います」 ⏤杉山ゆう子 (《ウカ》 エステティックマネージャー / 製品開発)

エステと聞くと、男性には関係ないと感じる読者もいるかもしれないが、《ウカ》エステ部門のマネージャーである杉山ゆう子氏は、「そもそも皮膚に男女は関係ありません。むしろ、今まで何もやっていなかった人ほど皮膚が素直で、施術後の変化を実感しやすいと思います」と語る。また、氏が施術を行う「uka park side suite」に来店する男性客は40代が多いそうだ。隠れ家へ向かうようにひっそりと足を運ぶことができる導線も魅力となり、リピーターを多く抱えている。
これまで《ウカ》で数サロンの勤務を経験した杉山氏は「広尾店での経験がトータルビューティーを実感した出来事」だと振り返る。「お客様がひとつのサロンに来店している間にさまざまな施術ができ、組み合わせることで相乗効果が生まれる、と初めて認識できました」。施術を楽しむお客様が「ボディケアも必要だよね」とエステを普段の施術に取り入れてくれるようになったことが、技術者としての氏の意識をさらに高めた出来事だったという。
「身体の仕組みを隅々まで理解し、その理論に基づいた正しい技術提供が私たちのエステの“本物の技術”。それをお客様と擦り合わせて提案できることが“本物の感性”。そして、お客様の一歩先を行く配慮が“本物の気配り”だと考えます」。エステは単に美しくするものではなく、自分の身体を楽にし、心地よくいるための施術だ。杉山氏は「不調がないということが美しさに繋がるので、表面的なケアはもちろん、内側から苦痛の種を取り除くようなケアを提案していきます」と語る。

“本物の技術、本物の感性、本物の気配り” それらが揃ったトータルビューティーを叶える《ウカ》
ファッションやヘアスタイルが華やかさを演出するものならば、彼らが提案するケアは、その美しさをより引き立てるための土台を整えるもの。鏡や電車の窓に反射する自分の姿を見たとき。自分が映った写真を見たとき。サロンへ足を運ぶきっかけは人によってさまざまだが、「自分の見た目を、自身が心地よい状態に保つ」ためにプロの手を借りると決めたとき、《ウカ》は大きな手助けをしてくれるだろう。

1986年生まれ、長野県出身。資生堂美容技術専門学校卒業後、2007年に《ウカ》に入社。現在は《ウカ》トップヘアスタイリスト兼クリエイティブマネージャーとして、広告ヴィジュアルや講演、製品開発に携わる。著書に『ヘアゴム1本でなんとかする』(2021年 KADOKAWA)がある。

1987年生まれ、神奈川県出身。東京マックス美容専門学校卒業後、都内でカラーリスト、スタイリストとしてキャリアをスタート。ロンドン、シンガポールではカラーリストとしての経験を積み、帰国後《ウカ》に入社。サロンワークに加え、撮影やセミナー、製品開発などにも携わる。

1991年生まれ、神奈川県出身。山野美容短期大学卒業後、都内の美容室でアシスタント経験を経て、ヘッドスパの専門店へ。2019年に《ウカ》に入社。現在はヘッドスパ部門のマネージャーとして、施術以外に製品開発も行う。

1981年生まれ、神奈川県出身。町田デザイン専門学校ビューティーデザイン学科卒業後、大手のエステサロンに入社。その後、2010年に《ウカ》へ。エステ部門、アイラッシュ部門、「パークサイドスイート」のマネージャーとして施術を行うほか、製品開発も行う。
STAFF
PHOTOGRAPHY BY AYUMU YOSHIDA.
Edit_NONOKA FUJIWARA(Righters).