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CULTURE
May 01, 2026
By THEM MAGAZINE

COMING UP Vol.07_02『ロン・ミュエク』

生々しい“人間存在”。貴重な11点が集結

《マス》2016〜2017年 合成ポリマー塗料、ファイバーグラス サイズ可変 所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン)、2018年フェルトン遺贈 展示風景:「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館、 2025年 撮影:ナム・キヨン 画像提供:カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術館
《エンジェル》1997年 ミクストメディア 110 × 87 × 81 cm 個人蔵 画像提供:アンソニー・ドフェイ(ロンドン)

精巧に作り込まれた“ハイパーリアリズム彫刻”を代表する現代アーティスト、ロン・ミュエク。オーストラリアの子供向けテレビ番組で人形制作に携わりながら、その人形を操作するパフォーマーとしても活動し、1986年にロンドンへ拠点を移す。映画や広告のためのプロップ制作会社を立ち上げたのち、ジム・ヘンソンのクリーチャーショップに参加。『ラビリンス/魔王の迷宮』(ジム・ヘンソン監督、1986年)では、毛むくじゃらの巨大なモンスター“ルド”の制作を手がけ、声優としても出演している。

 

こうして映画・広告業界で20年以上のキャリアを積んだ彼は「どこから見てもリアルな彫刻を作りたい」という思いから、1990年代半ばより彫刻制作を開始した。自身の父親の死を受け入れるために制作した、小さいながらも精緻を極めた彫刻「Dead Dad」は、父親の遺体を克明に再現した作品であり、ロンドンで開催された「センセーション:サーチ・コレクションのヤング・ブリティッシュ・アーティスト」展(1997年)に出品された。以降、ヤング・ブリティッシュ・アーティストの一員として国際的な注目を集め、世界各地で個展を開催。彼の作品は、1点あたり制作に数カ月、時には数年を要することも少なくない。過去30年間で制作された総作品数はおよそ50点にとどまり、いずれも希少な鑑賞機会となっている。

 

そうした作品の中から、選りすぐりの11点がこのたび森美術館に集結する。日本における個展は、2008年に金沢21世紀美術館で開催された回顧展以来、2度目となる。大型作品《マス》(2016〜2017年)をはじめ、初期の代表作から近作までを網羅し、うち6点は日本初公開。とりわけ初期の重要作《エンジェル》(1997年)の出品は、またとない機会といえるだろう。ロン・ミュエクが生み出す、生々しい人間存在。それらを静かに見つめ返すとき、鑑賞という行為の密度そのものが、改めて問い直されるはずだ。

Ron Mueck

ロン・ミュエク 1958年オーストラリア・メルボルン生まれ。1996年、ロンドンのヘイワード・ギャラリーで開催された展覧会で、義母であるポルトガル人画家パウラ・レゴの絵画とともに自身の彫刻《ピノキオ》(1996年)が展示され、現代美術界にデビュー。近年はソウル、オランダで個展を開催し、今後はシドニーでの開催を予定。日本では十和田市現代美術館で《スタンディング・ウーマン》(2007年)が常設展示されている。

 

【展覧会情報】

『ロン・ミュエク』

TERM 2026年4月29日〜9月23日
PLACE 森美術館
ADDRESS 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
OPENING HOURS 10:00〜22:00(入場は閉館の30分前まで)、火曜日は17:00まで。ただし5月5日、8月11日、9月22日は22:00まで。


URL https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/ronmueck/

 

Text_NONOKA FUJIWARA(Righters).

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