「エスパス ルイ・ヴィトン東京」にて、ダグ・エイケンによる没入型インスタレーションの展覧会が開催。

エスパス ルイ･ヴィトン東京」にて、アメリカ人アーティスト、ダグ･エイケンによる没入型インスタレーション「New Ocean: thaw」を紹介する展覧会が開催。

テクノロジー、エンターテインメント、コミュニケーションのコードに熟達したエイケンの作品は、「見えない風景」の描写を模索する。それは移動、磁気変動、情報、周波数に深い影響を受けた景色であり、「New Ocean: thaw」では、抽象化の一歩手前とも言えるイメージが万華鏡のようにめくるめく映し出される。そこに見えるのはアラスカの景色、その空、解けゆく氷河であり、自然の広大さに関連して生じる、ロマンティックな感情に迫る本作品の投影形式(ほぼ半円形をなすように配置された3面スクリーンを2組設置)は、19世紀のパノラマ絵画を彷彿させる。しかし、今回エイケンが広大さの詩情を新たな視点で捉えている今この時は、環境の大惨事が際立つ21世紀の夜明けに焦点を当てる。

固定したイメージ(氷)であると同時に、動くイメージ(水)でもあるこの作品は、写真と映画の間にあると言える。しかしこの作品において最も困惑を生じさせる中間域は、自然と人為の間の曖昧さであり、太陽はレンズによるフレア現象や色収差を呈して崩れ散乱する一方、氷河の音は編集され、電子音とミキシングされている。

ダグ･エイケンの映像作品には、20世紀の実験映画制作の痕跡と、物語や表現を超えたより幅広いアプローチが見られる。さまざまな支持体に投影され、音と連携し、時には空間に散りばめられるエイケンの映像は、単純な視覚的知覚の境界を超えた、ほぼ身体的ともいえる感覚特性を帯びている。

【展覧会情報】

期間：11月13日〜2月7日（休館日はルイ・ヴィトン表参道店に準じる）

エスパス ルイ・ヴィトン東京

東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7F 12:00~20:00

入場無料･予約不要

【問い合わせ先】

TEL.0120-00-1854

ice forms VII

2008

Production still from New Ocean: thaw (2001)

Courtesy of the artist

© Doug Aitken