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MUSIC
Oct 29, 2020
By THEM MAGAZINE

The LATEST MUSIC -今週聴きたい新譜- ONEOHTRIX POINT NEVER | Magic Oneohtrix Point Never

天才プロデューサーが誘う魔法の世界

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(OPN)ことダニエル・ロパティンがまたやってのけた。今度リリースされる<ワープ>からの7thアルバムは、初となるセルフタイトル・アルバム。と言っても、正確には冒頭に“Magic”付いているが、これはそもそものアーティスト名が「Magic 106.7」というボストンのラジオ局名の聞き間違いに由来しているのだから、むしろ由緒正しき名であると言っていい。自身のルーツに遡ったタイトルにふさわしく、今作は初期からこれまでにOPNが行ってきた実験的なアプローチを随所に盛り込んだ、集大成的なアルバムなのだ。

シームレスにつながる楽曲と、ラジオのチャンネルを気まぐれにころころ変えるかのような読めない展開が、リスナーを壮大なナラティブへと引きずりこむ。ジョシュ&ベニー・サフディ兄弟監督による『グッド・タイム』(17)や『アンカット・ダイヤモンド』(19)で音楽を手がけてきたからか、どこか映画的な展開もみせる。サイケデリックなアートワークを担当したのは、テーム・インパラの『カレンツ』を手がけたロバート・ビーティ。そのほか、アルカやキャロライン・ポラチェックがゲスト・アーティストとして参加している点も見逃せない。常にエキセントリックなOPNに、もはや野心的という言葉は似合わないだろう。洪水のようなアンサンブルに耳をまかせるだけで、OPNは脳内をジャックし2020年の音楽的快楽の世界へと連れていってくれる。ただわかりやすくて心地よい音楽を求めるなら、オススメはしない。

マジック・ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー

ARTIST ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー
RELEASE DATE 10月30日
LABEL Warp Records / Beat Records
URL beatink.com/products/detail.php?product_id=11445

 

 

 

ONEOHTRIX POINT NEVER

ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー ニューヨークを拠点とするミュージシャン、ダニエル・ロパティンのソロ・プロジェクト。2007年、ファーストアルバム『Betrayed In The Octagon』を発表。13年に<ワープ>と契約。今作の発表は18年の『Age Of』以来、2年ぶり。

 

 

Edit_KO UEOKA.

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