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ART
Oct 28, 2020
By THEM MAGAZINE

VIVIAN MAIER | Self Portraits

“ヴィヴィアン・マイヤーを探して”、再び。

 

シカゴのノースショアで約40年間ベビーシッターとして働きながら、余暇を使ってストリートフォトを撮りためていたアマチュア写真家、ヴィヴィアン・マイヤー。上から覗き込むようにファインダーを見るゆえに“隠し撮りカメラ”とも呼ばれる2眼のローライフレックスを首から下げ、街と人の躍動を撮り続けた。しかし、生涯で一度も作品発表をすることのないまま2009年に逝去してしまった、超がつくほどミステリアスな写真家だ。撮りためられた膨大な写真はコレクターによって発見され、死後にやっと日の目を浴びて評価されることに。13年に公開された、謎に包まれた彼女の生涯を探るドキュメンタリー映画『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』も、その名を広めるのに一役買った。現在、東京・青山にある「アキオ ナガサワ ギャラリー アオヤマ」では、彼女のセルフ・ポートレイトに焦点を当てた展覧会が開催中だ。そして意外なことに、日本では初の個展になるという。

©Estate of Vivian Maier, Courtesy Maloof Collection and Howard Greenberg Gallery, New York
©Estate of Vivian Maier, Courtesy Maloof Collection and Howard Greenberg Gallery, New York

今展では、ヴィヴィアンの代名詞とも言える、2眼ならではのローアングルから捉えたスクエアフォーマットのモノクロ写真に加え、70年代後半以降に使用していたと推測される35mmフィルムの作品も展示されている。店では偽名を使い、雇い主にもプライベートを隠し続けるなど、自己の露出を極端に拒み続けた彼女がセルフ・ポートレイトを多く残しているのはなぜだろう? 自己主張のためではないだろうが、街中の鏡に映り込む自分の像にどのような新鮮さを見出していたのか。この疑問が解消されることはもうないが、ユーモアたっぷりに切り取られた彼女の瞳から、何かが読み取れるかもしれない。

セルフ・ポートレイツ

TERM ~11月28日
PLACE アキオ ナガサワ ギャラリー アオヤマ
ADDRESS 東京都港区南青山5-12-3 Noirビル2F
OPENING HOURS 11:00-13:00 / 14:00–19:00(木-土)
URL akionagasawa.com

VIVIAN MAIER

ヴィヴィアン・マイヤー  1926年ニューヨーク生まれ。シカゴのノースショアにて、約40年もの間ベビーシッターの傍、余暇に写真撮影をしていたアマチュア写真家。作品を一度も発表することのないまま、2009年に逝去。コレクター、ジョン・マルーフによりその存在が発見され、彼によって彼女の作品がインターネット上にアップロードされて、評価を得るように。13年に、彼女の生涯を追ったドキュメンタリー映画『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』が公開。

 

 

Edit_KO UEOKA

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