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FASHION
Oct 17, 2017
By THEM MAGAZINE

【インタビュー】《ヴィーア アントワープ》in Need Supply Co.

【インタビュー】《ヴィーア アントワープ》in Need Supply Co.


「ヴィーア・アントワープ」というスケートショップを知っているだろうか?《スラッシャー》や《ヴァンズ》、《ストーンアイランド》などのストリート・カジュアルブランドと《プラダ》に《ヴェルサーチ》、《ドリス ヴァン ノッテン》などのラグジュアリーメゾンが等しく並べられた同店は、たんなるスケートショップとは一線を画した“アントワープのベストスケートショップ”として知られている。ラフ・シモンズのお気に入りでもあるこの「ヴィーア」のオリジナルスウェットやフーディ、キャップなどのアイテムも、ファッション・フォワードな人たちの注目を集めている。このたび2017A/Wコレクションの「Need Supply Co.」での展開に際して、創立者の一人であるBob Follensが来日。その人気の秘密に迫りたい。

 

 

——まず、あなたともう一人の創立者であるGiancarlo Angelettiのバックグラウンドを教えてください。

 

もともと、二人ともアントワープのセレクトショップで働いていたんだ。10数年間は販売員として店頭に立っていて、その後ビジュアルマーチャンダイジングを担当することになったんだ。ヨーロッパにある系列店のVMDを手掛けていたよ。その後二人で独立することになったとき、アントワープには何が足りないのか?と考えた末、ストリートとハイエンドをミックスしたショップがないことに気付いた。自分たちもストリートとハイエンドをミックスするスタイルが大好きだったこともあって、そうしたコンセプトのお店を作ろうと決めたんだ。

 

 

——「ヴィーア・アントワープ」は“悪名高き ファッションの中心地”である4区にお店を構えているそうですが、ここに決めた理由は何だったのでしょうか?

 

4区というのはファッション・ディストリクトで、《ドリス ヴァン ノッテン》の旗艦店やハイエンドなショップはもちろん、《ヴァンズ》みたいなストリートブランドもあったり、MoMu(モード博物館)もあったりと、ファッションにまつわるあらゆるものがそこに集結しているんだ。「買い物をするなら4区」というエリア。美味しいレストランもあって、自分たちがお店を開くならここしかない!って思ったんだ。4カ月前にショップを移転をしたんだけど、それも元々あったお店と同じ通りの二件なんだ(笑)。

 

 

——《プラダ》や《ドリス ヴァン ノッテン》、《ヴェルサーチ》といったハイエンドから《ドクター マーチン》や《ヴァンズ》などのストリートブランド、《C.E》や《ポーター》といった日本のブランドまで、かなり幅広いラインナップですが、セレクトする上でのポリシーやコンセプトは何なのでしょうか?

 

確かに《プラダ》もあれば《ラフ シモンズ》もあったり、《ワコマリア》があったりと幅広いけど…何より大事なのは、そのブランドに共感することができるか、ということかな。「高級だから」とか「ハイプだから」ということではなくて、ブランドが歩んできた歴史や、作ってきたものに対してパーソナルなつながりを持つことができるかを重視しているよ。あとは友人が手掛けていたり、という個人的な付き合いによるものもある。もちろん、「ヴィーア」にどうフィットするかというのも重要。店全体のバランスを常に考えていて、このブランドとこのブランドを並べたらどうなるか、ということを一番に気にかけているよ。

 

 

——ラグジュアリーなど、取扱いのハードルが高いブランドはどうやって実現させていてるのでしょうか?

 

そうだね、《プラダ》とかは難しいよね(笑)。でも訪問やミーティングを繰り返して、実際にコンセプトや僕たちが何をやりたいかというのを腰を据えて話していけば、彼らも理解してくれるんだ。フィーリングが通じて彼らも僕たちの信念に共感してくれれば、アカウントを開くことができる。コンセプト何度かミーティングをして、打ち合わせや訪問を繰り返して、実際彼らにあってコンセプトや考えを話していくと、フィーリングが通じて、アカウントをひらくことができるんだ。1回チャンスを与えられて、成功しているから続けることができる。

——では、自分たちのコレクションを作るようになったきっかけは?

 

純粋に、最初はただ楽しいことがしたくてやっていたんだ。二人ともクリエイティブなアイデアがたくさんあったから、それを小さなコレクションとして作ってみた。ショップが軌道にのってから、もっと遊び心のあることをやりたいと思っていてね。常にアイデアがあるから、それをフーディやTシャツなどに落とし込んでいる“遊び”なんだ。

 

 

——アイデアのインスピレーションになるのはどのようなものなのでしょうか?

 

日々の生活のありとあらゆるものだね。ビジネスのための出張やプライベートな旅行、テレビを見ているときとか。アントワープには王立芸術学院があって、世界中の才能ある人たちが育って素晴らしいデザインを手掛けている。自分たちはそうではないからこそ、別の視点で取り組むことができるんだと思う。

 

 

——キャンペーンビジュアルをWilly Vanderperreが手掛けていますが、どのようなきっかけで彼に撮ってもらうことになったのでしょうか?

 

彼はオープンからの顧客なんだ。近くに住んでいて、長年の友人でもあるんだ。キャンペーンを撮ろうってなったとき、彼と、スタイリストのOlivier( Rizzo)にやってくれないかってお願いしたいんだ。ラフ(・シモンズ)もそのつながりだね。

 

 

——スケートショップやブランドが数多くあるなかで、何故「ヴィーア」がここまで人気になっているのだと思いますか?

 

うーん…なんでだろうね(笑)。日本の人たちが着てくれているのはおそらく、ヨーロッパで日本のストリートブランドが人気なように、彼らにとって新鮮に見えるからじゃないかな?遠く離れた国のものだから、憧れを持ってくれてるんじゃないかなって?手に入れづらいこともあったし…。

 

 

——今後、フルコレクションなどの予定は?

 

それは無いね(笑)。少なくともいまのところはね。僕たちはラフのような、ちゃんとしたファッションデザイナーではない。遊んでる感覚でTシャツやスウェットにプリントをしているだけなんだ。毎回、試行錯誤しながらやってるよ。テクニカルなバックグラウンドがないからね。アイデアだけは一杯あるけど、それを形にできるものはほんの少し。だからこそ、いいのかなって。コレクションを作らなきゃ!って思うとストレスがたまるだろうから(笑)。

 

 

 

Edit_JUNICHI ARAI(Righters)

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