Them magazine

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LIFESTYLE
May 30, 2023
By THEM MAGAZINE

Interview with Samy Hamada by Aēsop

――《Aesop》における、あなたの役割を教えてください。どのようなキャリアや経験を経て今のポジションを務めているのでしょうか?

 

アロマは物語を語ります。そして私自身、いつもそうした香りの道に惹かれてきました。ずっとアロマや物の香りに興味を持っていたため、香りに関係する分野の化学へと研究の方向を進めました。
化粧品の研究開発にまつわる私のキャリアは20年以上前に始まり、以来アフリカ、ヨーロッパ、オーストラリアという3つの大陸で化粧品の研究開発に携わってきました。この間私は、化粧品業界が進歩する様子や、お客様の持つ期待の変化に接してきました。《イソップ》のDNAの中には、お客様を中心に据え、製品の効果を追求することが明確に組み込まれています。そして、安全性やサステナビリティを念頭に置いた原料の選び方は、私自身の価値観と見事に一致します。
私はR&Dディレクター(研究開発部長)を務めていますが、私のチームの目標は常に、時代の変化に耐えうる良質な製品を作り、具体的な効果を肌にもたらすことです。私たちが最も意識を向けているのは、成分の品質、肌に対する安全性と効能効果、そして地球への影響を最小限に抑えることです。

 

 

――《Aesop》では、ひとつのプロダクトの開発に短いものでも1年、長いものでは10年程度の期間を要するそうですね。新しい製品を開発するきっかけとなるものは何でしょうか?

 

最新かつ効能の高い成分や包装材について徹底的にリサーチを行い、循環経済の原則を私たちの製品ライフサイクルに取り入れることに対し、常に鋭い目を向けています。
私たちは、現在そして今から5年後、10年後のお客様のニーズに応えられるような、時代に左右されない製品を追求しており、周りの刹那的な流行にとらわれて、無為に新製品を市場に出すということはありません。《イソップ》がひとつの製品にかける時間と開発の手間は、業界において極めて稀であり、物事をきちんと行う、時間をかける、という意識が大きな差を生んでいます。
お客様のために、まるで近しい家族に対して何かをするように行動することが、《イソップ》を特別な存在にしています。
常時さまざまな開発段階にある製品を多数抱えているものの、実際に市場に送り出すのは、そのうちごくわずかの製品に限られます。新製品の発売がマーケティング上必須である、との認識にとらわれながら製品開発を行うことを、私たちは拒否します。

 

 

――ひとつの製品を作る上で、コンセプトの構築はどのようなことから始めるのでしょうか?例えば”パセリ シリーズ”は都会の生活で日々受けている外的環境から肌を守るというコンセプトですが、これはどういったことが契機となって生み出されたのでしょうか?

 

まずお伝えしたいのは、私たちは製品の流行傾向や業界の慣習を考慮に入れず、明確な目的を持った、時代に左右されない製品を作っているということです。そしてお客様の声に耳を傾け、肌に何が必要なのか、何ができるかを見極めます。私たちが開発を手掛けている製品の数は、競合他社の約4分の1ほどですが、それは製品すべてが卓越した質を備え、製品ラインの中に永久に残ること願っているからです。そのため、各製品の開発にはかなりの時間を費やします。
ひとつの製品が完全に生まれるまでには、通常おおむね2年から5年を要します。新たな製品が、品質、安全性、効能、サステナビリティに関して、自社の厳正な基準を確実に満たせるよう、必要な時間をかけるというのが私たちの方針です。高い技術を有する社内の化学者が、長年培った経験をもとに、製品のあらゆる側面を丹念に精査し、完成度を高めます。密接な協力体制、慎重なリサーチおよびテストなど、最終製品は多くの試行錯誤と実験の結晶です。
“パセリスキンケア シリーズ”の開発は、都会の喧噪に暮らす人の肌が、日々の生活の中で受ける負担に対応できるようにと行われました。このシリーズのすべての始まりは、「パセリ フェイシャル トナー」というひとつの製品でしたが、この製品は必要な成分を肌に直接届け、肌状態を最善に保ちながら保護します。
このときパセリ種子油の持つ幅広い適用性に気づいたことで、《イソップ》 スキンケア製品の“ファミリー”として発展するに至りました。さまざまな肌タイプに適応可能で、都会の空気にさらされる肌の毎日を守る製品シリーズです。

 

 

――創業当時、《Aesop》ではお客さまへのお釣りには必ず、ローズオイルと一緒に冷蔵庫に保管していた新札にしていたそうですね。製品づくりにおいても《Aesop》らしいエピソードなどがあれば教えてください。

 

はい、そのとおりです。今のような姿になる以前、《イソップ》はメルボルンの「Emeis」というヘアサロンを前身として始まりました。初期のころにヘアサロンで使用していたエッセンシャルオイルのひとつがローズマリーです。そしてオイルを使用しないときは、密閉した琥珀色のガラスボトルに入れて冷蔵庫で保管していました。当時は現金を使う人が多かった時代で、同じ冷蔵庫の中の別の棚を金庫として使用し、その日の売上を入れていたのです。お客様への心遣いとして、お釣りは必ず新札でお返しするというのが基本でした。
私たちが予想していなかったのは、ローズマリーの香りが漂う、キンと冷たく爽やかな紙幣を手にしたときに、お客様が驚いて喜んでくださることでした。香り、手触り、温度などが持つサブリミナル的な力について学ぶきっかけとなり、これらは今日でも《イソップ》が大切にしている要素です。そしてこのような精神は、《イソップ》の製品づくりの姿勢にも深く根付いています。原料は、その安全性や効能を第一に考えて選ぶことはもちろんですが、質や純度について最高の中の最高を目指して採用することにより、製品を使うという体験全体を高く引き上げたいと考えています。常に標準よりも一歩踏み出し、当たり前の日常や普段の行動を一段向上させるという私たちの伝統を確実に守っていきます。

 

 

――男性においてもスキンケアの重要性が認識されるようになりましたが、《Aesop》は長らく性別の垣根を越えた製品を作り出してきました。創業当時から男性のスキンケアというものをどれほど意識していたのでしょうか?

 

《イソップ》ではスキンケアについて語るとき、肌の調子を最適化してサポートすることに主眼を置き、肌の状態を把握して、必要なものを確実に届ける製品が何かを見極めます。そして、年齢やジェンダーではなく、環境条件やホルモンの動き、また食生活や睡眠時間などの影響で肌がどのように反応し、変化するかということについて、より多くのことを話し合います。さらに、生活の一部として行うスキンケアの力がいかんなく発揮されるには、健康的でバランスのとれた生活全体が欠かせず、私たちはそのようなライフスタイルを推奨しています。
とはいえ、男性の肌について語るとき、考慮しなければならないポイントがいくつかあります。一般的に、男性は女性よりも肌密度が高く皮脂の分泌も盛んです。男性の肌は敏感ではないと思われがちですが、興味深いことに、実は皮脂の分泌が多くなると、肌荒れを起こしたり、肌が敏感になることが多いため、男性にはそうした特徴に対応でき、肌をサポートしてすこやかさを高める製品が必要になるのです。

 

 

――男性が《Aesop》でスキンケアのプロダクトを使用するうえで、まずはどのように選んでいけばよいでしょうか?製品づくりの段階で、男性の使用を想定したものというものもあるのでしょうか?

 

製品が自分の肌に合うかどうかを知るには、《イソップ》の店舗に足を運んで自身の肌で試してみるのが一番です。私たちのストアコンサルタントが、お客様と有意義な会話を交わしながら、気になる部分や肌質、生活環境、好みのテクスチャーなどを伺います。シンクで実際に製品を使ってデモンストレーションを行い、肌への感触を体感しながら一緒に製品を吟味していただけます。
まず最初のステップとして、クレンジング製品を選ぶことから始めます。私たちは、肌をすこやかに保つにはクレンジングが欠かせないと考えています。顔の皮膚は体の他の部分と比較してデリケートで、しかも常に外界にさらされています。こうした2つの理由から、クレンジングという行為は丁寧に、かつ敬意を込めて行う必要があります。私たちの用意しているクレンジング製品の幅の広さは、このシンプルな日常行為を大切に思っていることの証しです。
肌タイプに合うクレンザーを選ぶことをおすすめしますが、ヒゲのある方は、ジェルタイプのものがクリームやオイルと比較してヒゲの部分を洗い流しやすいと思います。ジェル状クレンザーである「パセリ フェイシャル クレンザー」は、肌表面の余分な皮脂や不純物を効率的に浮かせて除去するよう処方されており、都市環境にあっても澄み渡った清潔な肌を維持にするのに理想的です。スキンケアの重要第一ステップであるにも関わらず、とかく軽視されがちなクレンジングという行為にかける《イソップ》の使命感が、「パセリ フェイシャル クレンザー」の中によく見て取れるでしょう。配合された成分が、幅広い肌タイプに対して具体的な効果を発揮し、洗顔のたびに心楽しい時間をお過ごしいただけます。
またクレンジングに加え、エクスフォリアント製品を賢く取り入れることを大いにおすすめします。古い角質を取り除いて、なめらかに冴える肌に導くことができますし、シェービング後のカミソリ負けを抑えるのにも役立ちます。「ピュリファイング フェイシャル エクスフォリアント」は、優しく洗練された角質ケア製品で、週のうち2回、お好きな《イソップ》のクレンザーの代わりに使用すると、肌を磨いたように整えてくれ、その後に続く保湿に対して万全な状態に導きます。
保湿に関しては、男性のお客様は、比較的軽やかにすっとなじむようなテクスチャーを好まれることが多いようです。そのようなタイプのハイドレーターとして、「パセリ フェイシャル インテンス セラム」が挙げられます。肌をサポートし、毎日お使いいただける保湿セラムで、敏感肌を含むほとんどの肌タイプに適しています。うすく伸びて肌の上に通気性のある環境バリアを形成するため、都会で生活する方、あるいはクリームやオイルベースの保湿剤に代わるものをお求めの方にもおすすめです。
しっかりとしたテクスチャーをお好みの方には、「パセリ フェイシャル ハイドレーティング クリーム」がおすすめです。この製品は、幅広い肌タイプの方にたっぷりとしたうるおいを届け、また季節柄や気候に関係なくお使いいただけます。

 

 

――サミーさんが個人的にも気に入っているプロダクトは何でしょうか?

 

《イソップ》がいかに熱烈に独自の姿勢を貫いているかを示す、製品開発の節目がこれまでに何度もありました。私が個人的に気に入っているものとして、「パセリ フェイシャル インテンス セラム」を挙げないわけにはいきません。毎日使えて肌をすこやかに整える保湿セラムで、2021年に発売しました。
環境の及ぼす影響や、肌への負担が一層意識されるようになってきたことで、それまでの“パセリシリーズ”の製品が持つ基本効果を、さらに高めるような効能をいくつか投入することになったのです。
この製品では、肌への優しいサポート効果が、都会の環境下での使用に一層即した形になっています。熟慮の上配分されたブドウ種子エキス、チャ葉エキスが、肌を整え、よりよい状態へと導きます。また、水分を閉じ込めておく効果も長く持続し、軽いテクスチャーからは想像できないほどの保湿力を発揮します。
「パセリ フェイシャル インテンス セラム」は、肌にうるおいを呼び込むだけでなく、カエサルピニア スピノサ(タラガム)とカッパフィカス アルバレジ(紅藻)のエキスによって肌の上に通気性のある膜を形成し、目には見えないけれども有能な環境バリアとして機能します。また、さっと伸びて素早く吸収される「パセリ フェイシャル インテンス セラム」は、都市部における生活ニーズに応える作りです。また、ほかの保湿剤と重ねてつけることで自分に合った保湿をしたり、日焼け止めを塗る前に「パセリ フェイシャル インテンス セラム」を塗っておくのもおすすめです。

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