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MUSIC
Aug 18, 2022
By THEM MAGAZINE

サマソニオーディションで見つけた、注目のアーティストインタビュー vol.2 Salmon Pink

堪能な英語と、クオリティの高いサウンドで世界を目指す。海外にルーツを持ったロックデュオSalmon Pink

SUMMER SONIC 2022」への出演権を懸けたオーディション「出れんの!?サマソニ!? 2022」。このオーディション参加者の中で、英語の歌詞で歌うアーティストに焦点を当てたインタビュー企画第2弾。今回取材したバンドは、Salmon Pink。イギリスとブラジルにルーツを持つ、LeoEddyによるロックデュオだ。活動を始めたのは2019年と最近だが、上質なサウンドと、サイケデリックなパフォーマンスで早くも注目を集めている。今年の初めにリリースした『What Gets Me』は、ネオアコ系ギターポップを彷彿とさせるような、どこか懐かしく親しみのある曲。一方、6月に配信した最新シングル『Diamonds』は、哀愁が漂うポップでモダンなナンバーである。アレンジャーとして元 never young beach の阿南智史が参加しており、海外のインディーズ・ポップにも負けず劣らない仕上がりだ。インディ・ロックやソウル、ファンクなどから影響を受けたサウンドと、2人の実体験をベースにした歌詞によって、ジャンルレスで自由な音楽が生み出されている。
最近ではBoTT×Reebokのキャンペーンビジュアル&ムービーに出演するなど、活動の幅を広げているSalmon Pink
まだメディア出演も少なく、謎に包まれた2人の出会いや、曲作りについて話してもらった。

——まず初めに、2人が出会ったきっかけを教えてください。

Eddy:僕は5年前、愛知県から音楽をやるために上京してきました。ちょうどそのタイミングで、僕たちの共通の友達がバンドに誘ってくれたんです。僕はギター、Leoがベースで呼ばれて、そこで初めて会いました。そのバンドは2年くらい活動しましたね。解散した後にLeoを誘って、Salmon Pinkになりました。

 

 

 

——小さいころから音楽は身近な存在だったのでしょうか。

 

Leo:そうですね。父がドラムをやっていて、趣味でバンドも組んでいたので、幼いときからバンドの練習を見学していました。だから最初に触った楽器もドラムでしたね。その後、The Beatlesに影響を受けてギターを始めました。

 

Eddy:僕は父がギタリストで、おじさんやおばさんもみんな楽器が弾ける家族でした。なので物心ついたときから、音楽はすごく身近にありましたね。家族でよくジャムをしていた思い出があります。

 

 

 

—— 2人とも、日本での生活が長いのですか。

 

Leo:そうです。僕は生まれも日本。幼稚園から高校までずっとインターナショナルスクールに通っていたので、日常的に英語で会話ができるんですけど、Eddyは上京するまで全く喋れなかったんですよ。

 

Eddy:そうなんです。僕は生まれはブラジルで、3歳からは日本で暮らしています。もともと英語はできなかったんですけど、同じハーフの友達とコミュニケーションをとる中で覚えました。今は日本語、ポルトガル語、英語が話せます。

 

 

 

——日本で活動する上で、日本語で詩を書くという選択肢はありましたか。

 

Eddy:ありましたよ。でも英語のほうが、気持ちを整理しやすかった。何度か日本語で書こうとしたこともあったのですが、うまく自分の心情とマッチしませんでした。

 

Leo:無理にやっても楽しくないからね。でもいずれは日本語でも書きたいと思っています。

 

 

 

——楽曲制作は2人で一緒におこなっているのでしょうか。

 

Eddy:そうですね。1人で作って完成したデモや、「こんなフレーズがあるんだけど何かアイデアない?」って送りあったり。お互いの家に行って一緒に作業することもあります。僕よりもLeoの方が英語が得意なので、「もっといい言い回しあるかな?」ってアドバイスを求めることも多いですね。

 

Leo:でもやっぱり、2人で向き合って書くほうが面白いと思います。もう1人の意見があると考え方や世界観が変わっていきます。

 

 

 

——曲を作る上で意識していることはありますか。

 

Eddy:意識しているのは、今の気持ちや状況を自分の言葉で伝えることです。6月に配信した「Diamonds」は僕が作曲をしたのですが、自分の実体験がベースになっています。もの悲しい歌詞ととポップなメロディが気に入っています。

 

Leo:ある意味適当に、遊び感覚で作る方がいい音楽ができる気がしていますね。

 

 

 

——影響を受けた、または受けている音楽はありますか。

 

Leo:父がイギリス人だったので、小さいころから、Linkin ParkやThe BeatlesなどのUKロックを聴いていました。大きな影響を受けた1曲というよりは、昔から聴いていた曲や、たまたま耳に入った音楽から、自分が気づかないうちにアイデアをもらっていると思います。曲を書くときにインスピレーションを受けるのは、そのときに聴いている音楽なんじゃないかな。最近は僕もEddyも山下達郎をよく聴いています。

 

Eddy:Leoの言うように、気づかないうちにアウトプットまでしていますね。僕の父はギタリストだったので、ハードロックやSteve Vai、Joe Satrianiなどのギターメインの音楽がよく流れていました。母はR&Bを好んで聴いていたので、物心ついたころから色々なジャンルの音楽に囲まれていた気がします。今後も好きな音楽をリスペクトしつつ、2人で新しいものを作っていきたいです。僕は今、The Beatlesにはハマっているので、彼らを意識した曲を書けないかと模索しています。

 

 

 

——幼いころから日本で暮らす中で、ミックスルーツとして感じることや考えることはありますか。

 

Eddy:家庭の中に、日本とブラジルの2つの文化や価値観が混じっていたのは大きいですね。言語や聴く音楽もさまざまで、幼いころから自分の意識が海外に向いていたことは確かですね。

 

Leo:僕は少し前までは、自分のルーツはどこにあるのか考えることが多かったです。日本人が僕らを見ると、外国人感があるって言うんですけど、Eddyがブラジルに、僕がイギリスに行ったら、「やっぱり日本人だな」って言われますね。居場所がないような、少し寂しい気持ちになったこともありました。

 

Eddy:宇宙人のような、中途半端な感じ。10代の頃は、俺は何者なのかって自問自答していましたね。当時は自分のアイデンティティを確立できていなかったから。でもLeoや同じようなルーツを持った仲間に出会って、音楽を始めて、今はハーフであることは強みだと思っています。僕らにしかできない音楽を楽しみたいです。

 

 

 

——今は日本で活動していますが、今後は海外への進出も視野に入れていますか。

 

Leo:海外に僕たちの音楽を届けたい。その気持ちは最初からあります。僕ら2人とも英語が話せて、音楽にできるのは大きなポイントだと思うんです。だからこそ、僕らの音楽をもっと多くの人に聴いてもらいたいですね。

 

Eddy:僕は海外の大きなフェスに出たいです。日本でここまで英語を極めているバンドも珍しいと思うし。海外の人たちに、こういう日本のバンドもいるんだって知ってほしいですね。

左:Eddy、右:Leo
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